投資用として考えるみんなのクレジット

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みんなのクレジットへ「投資」をしても大丈夫なのか、詳細を検討


ソーシャルレンディングが流行の兆しを見せているが・・・

※2017年3月、みんなのクレジットが金融庁から行政処分を受けました。当サイトで懸念していた事が現実になりました。以下、再度確認してください。


現代は様々な金融商品が続々と生まれて、個人投資家が利用できる商品の幅が広がっています。そんな中、最近注目を集めているのが、ソーシャルレンディングです。ソーシャルレンディングは投資用として、いったいどうなんでしょうか?

みんなのクレジット


本ページでは、2016年秋以降、特によく見かけるソーシャルレンディングの「みんなのクレジット」に関して、評価&解説をしてみたいと思います。一体、投資用としてみんなのクレジットを活用して大丈夫なのかどうか、判断していきます。



簡単に言うと、個人が銀行融資をするようなイメージ

一般的に、ビジネスを展開する人や企業が事業資金を調達する場合、銀行からお金をお借り入れます。銀行は私たち市民から集めた預金(定期預金など)を、事業者に融資して金利を受け取ります。

このお金の流れが変わり、「みんなのクレジット」を経由して、直接、個人投資家の資金を事業者に貸し出す事になります。

下記のモデルケースをご覧ください。事業資金を調達したい借り手が、金利10~14%で、「みんなのクレジット」に融資を申し込み、「みんなのクレジット」が、貸し出し資金を個人投資家から集めます。 私たち個人投資家は、借り手が支払った金利の一部を受け取る仕組みです。

みんなのクレジット、あるいはソーシャルレンディングの仕組み


個人投資家が受け取る利回りは、最大で14%近くもあります。この利回りの高さが、近年注目を集めていると言っても過言ではありません。

高利回りを実現できる点が、「みんなのクレジット」最大の魅力

運営者であるみんなのクレジットが借り手の財務状況を判断し、一定の担保を取った上で融資を実施するので、安全性が低すぎるという事はないようです。その上で、10%を超える利回りを得る可能性があるのが、最大の特徴です。ざっとメリットを掲載しておきましょう。

みんなのクレジット(あるいはソーシャルレンディング)のメリット


「みんなのクレジット」は、1口10万円から投資が可能ですから、少額からの資産運用が可能です。その上、運用期間が1年未満のものが多く、複数の借り手(複数のローンファンドを利用する)に分散して投資する事が可能です。

さらに投資(ローンファンドに資金を託す)する際に、手数料が一切かかりません。成約手数料も、口座の維持費も無料。つまり、個人投資家が支払う手数料は、1円も無いという事です。小口投資を増やしてもコストが無いので、分散投資にピッタリです。

ちなみに「みんなのクレジット」の収益源は、「融資先への貸付金利」と「投資家への募集利回り」の差が収益となります。ですから「みんなのクレジット」自体が安定して儲ける為に、融資の審査は、しっかりと行うはずです、たぶん。この部分が事業運営の肝ですから。

いや、でも融資先への貸出金利は15%以内となっていますから、金利差で鞘を稼ぐ部分は少ないのかもしれませんね。その代わり事務手数料を0%~3%取るようなので、1億融資する案件ならば、3%で300万円の手数料収入がある事になります。

個人投資家よりもみんなのクレジットのほうが、はるかにリスク低減の策を講じていると言えそうです。個人投資家も融資先から事前に3%の手数料みたいなお金を取ることが出来れば、だいぶ魅力的なのですが・・・。

みんなのクレジットに投資をする事のリスクをもっと認識しよう


一部担保を取れない案件もあり、高利回り案件のリスクを認識しよう

記事執筆時点で、「みんなのクレジット」の成立ローン総額は、20億6,619万円に達しており、本当に注目を集めだしていると感じます。

みんなのクレジットの不動産ローンファンド


例えば上記案件であれば、15か月の運用を行う不動産ローンファンドに1口10万から投資が可能で、想定利回りは7.5~14.5%となります。かなりの高利回りですよね。

ではリスクは無いのか。実はリスクとリターンは表裏一体なのが金融の世界の常識です。これほどのリターンを得る為には相当程度のリスクを背負う必要があります(リスクが全く無いという投資が有ったとしたら、それは詐欺と言います)

一応、担保(万が一、資金を回収できない場合に、現金化する)を取れるところに融資が行われます。ただ、投資家側には、どのような担保が取れているのか、具体的には分かりません。

要は、自分が銀行になるようなものでイメージしてみて下さい。いったい何を基準で融資するのか、現状では非常に不明瞭なところが多いです。たったこれだけの情報で、普通は融資などできません。

不動産ローンファンドの詳細


ここが、まず投資家側としてのリスクですね。上記案件のように「一部担保付」と明記されているので、おそらく融資全額相当をカバーする担保が取れなかったのだろうと推測します。

つまり融資した資金が焦げ付く可能性が高く、リスクが高いので、最大14.4%の利回りが設定されているという事です。参考に下記案件であれば、「担保付」と掲載されており、おそらく融資全額相当の担保を見込める案件だと思います。それなりにリスクが低下するので、利回りが8.8%と低めの水準になっているのでしょう。

ソーシャルレンディングの担保付きの文言


ただし、本当に100%カバーできる分の担保が確保できているのか、投資家側には一切判断可能な情報は無いので、あくまでもみんなのクレジットという企業を信用しきるしかありません。

ちなみにですが、当サイト管理人は銀行から融資を受けて、不動産に投資しています。この時銀行は、担保をしっかりと取ります。仮に私が自己破産したら、銀行は私から不動産を取り上げて、市中で売却します。

この時、融資した資金をほぼ回収できると判断しないと、融資してくれません。つまり銀行が行う融資にはかなりの「裏付け」がある訳です。

これに対してみんなのクレジットが「担保を取っている」とか「一部担保を取っている」という表現が、具体的にどういう意味なのか、分かりませんよね。もしかしたら融資資金の半額を回収できるものを「担保付」と称して、1割2割程度のものを「一部担保」とか表現しているのかもしれませんし。

こういった不透明な部分が非常に多いのが、ソーシャルレンディングのマイナスの部分です。不透明な部分=リスク=不確実性が大きすぎるゆえの、超高利回りと考えて下さい。



お金を借りるのに8%とか14%という金利は、ふつうはあり得ない

だいたいこのレベルの金利って、消費者金融と同じくらいの数字ですよね。だとしたら、それは完全にサラ金の世界です。

どこからもお金を借りられないような信用力の皆無な人に対して、あなたはお金を出すという事になります。貸し倒れリスクは非常に大きいものと覚悟したうえで、投資をすべきです。
不動産バブル

募集案件を見ると、不動産に対する融資が非常に多い事が分かります。私は不動産投資をしている側の人間なので、肌感覚で分かるのですが、今、不動産分野はバブルに近い加熱状況にあります。

物件買って転売しても高値で買う人が後を絶たないので、だったら高金利でもいいので金を借りて物件をサッサと買って、転売した後に金利を付けて返せばよいという世界になります。

これって、景気が下向きになったらどうなるか分かりますか? 必ず融資の破たんが生じます。高金利でないとお金を借りられないような業者は、一斉にバタバタと倒れる恐れが大ですから、ソーシャルレンディングで融資する時には、絶対必ず「好景気の時だけ投資する」と肝に銘じた方が良いでしょう。

匿名組合方式になる事も、懸念事項

本件の投資スキームは、匿名組合方式になります。当サイト管理人は匿名組合方式についてかなり懐疑的であり、なぜそう考えるのかは、管理人姉妹サイトにて「匿名組合とは?」のページをご覧いただき、そのリスクについて認識してください。

みんなのクレジットのウェブサイトに、匿名組合方式独特のリスクについての記述が無いので、その点はかなり懸念事項かなと思います。

融資先企業が破たんしても、担保で保全された部分は本来戻ってくるはずですが、営業者たるみんなのクレジットが破たんしたり持ち逃げしてしまったら、投資家には一銭のお金も戻ってこない事になります。

したがってみんなのクレジットを通じてソーシャルレンディング投資を行う場合、投資先云々だけでなく、みんなのクレジット自体の信用度合いや財務状況を本来確認しておく必要が有ります。こういったリスクがある事も、じゅうぶんに認識しておきましょう。

具体的に、みんなのクレジットの融資先が1社破たんしたらどうなるかシミュレーション

いくら利回りが高いからと言って、そのようなハイリスクなものに大量に投資するのは、金融の世界の常識から言って、正気の沙汰ではありません。ソーシャルレンディングは小口の投資が可能ですから、利回りの高いものと低いものを組み合わせて、リスクを低減させたほうが良いでしょう。

例えば、SBIソーシャルレンディング(https://www.sbi-sociallending.jp/)の下記のような低リスク低リターンの商品などを含めて、ソーシャルレンディングの会社自体も複数に分けて分散投資するのが、本当に肝心です。

SBIソーシャルレンディングの投資案件


本項では、そのように分散投資を行い、具体的には100万円を下記の3つに分散投資を行って、もしも最もリターンの高い案件が破たんした場合、あなたが投資した資金はどうなるのかを考えてみました。

・みんなのクレジット:利回り14.4%案件に10%投資
・みんなのクレジット:利回り7.3%案件に50%投資
・SBIソーシャルレンディング:利回り2.8%案件に20%投資
・SBIソーシャルレンディング:利回り2%案件に20%投資



で、高利回りのものが高リスクですから、14%の案件が破たんして、一切の資金を回収できなくなったと仮定してシミュレーションした結果が、下記になります。

出資額の一部が戻るという可能性もありますが、なにぶん出資内容が投資家側には全く見えてこない投資スキームなので、全額回収できないと考えるのが妥当なシミュレーションだと判断します。

予想配当
利回り
投資金額 予想配当金 受け取る配当金 貸し倒れ 回収金額
14.4% 10万円 1.44万円 0円 ? 0円
7.3% 10万円 0.73万円 0.73万円 10万円
7.3% 10万円 0.73万円 0.73万円 10万円
7.3% 10万円 0.73万円 0.73万円 10万円
7.3% 10万円 0.73万円 0.73万円 10万円
7.3% 10万円 0.73万円 0.73万円 10万円
2.8% 10万円 0.28万円 0.28万円 10万円
2.8% 10万円 0.28万円 0.28万円 10万円
2% 10万円 0.2万円 0.2万円 10万円
2% 10万円 0.2万円 0.2万円 10万円
6.1% 100万円 6.1万円 4.6万円 - 90万円
↑一番下の段は、合計の数字です


この手のシミュレーションは、数字のお遊び的な部分があるのでいか様にも操作できますが、下記に示された結果は、貸し倒れが1件発生すると全体の投資収益がマイナスになる可能性を示しています。

投資金額 受け取る配当金 回収金額 実現配当利回り
10万円 4.6万円 90万円 -5.4%


今は世界的に好景気の絶頂のような素晴らしい時期なので、貸し倒れリスクはあまり考える人はいないかもしれません。しかし本来、銀行が融資しないようなところにソーシャルレンディングは投資するのだという事を決して忘れないで、貸し倒れリスクを様々にシミュレーションした上で、投資の判断をすると良いでしょう

決して「定期預金よりもお得」のような安易なイメージを持ってはいけません。日本でサービスを展開している様々な投資手法の中でも、かなりリスクの高い部類に入る事だけは肝に銘じて下さい。

手元資金が大量に有って、一通り貯金にも投資にもお金を回して、それでもまだお金を使い切れないような人が行う投資。ソーシャルレンディングは、本来的にはそのような人に向いていると思います。


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