ドリームロードなる外貨建て終身保険はボッタクリ

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三井生命のドリームロードなる外貨建て終身保険の評価について


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頂いたご質問(2017年11月、pen nameさま、50代・女性)

三井生命のドリームロードと、アクサ生命のアップサイドいう保険商品を勧められています。アップサイドについてはお勧めしないというコメントを見ましたがドリームロードはどうでしょうか。

目的は、定期預金では増えないからというためで、保険本来の目的(もしもの備え)ではありません。ドリームロードは外貨(私の場合はAU$)の金利で増やすもので、定期預金みたいなものと理解しました(そう説明されたからですが)。

外貨建て終身保険はボッタクリ


為替のリスクはありますが、すぐ円にしなくてもいい方法もあるので、多少は回避できるとも理解しました。保険商品は手数料が最初に高いようで、もちろん歓迎はしませんが、それを払っても戻ってくるものがそれより多ければ仕方ないと思うしかないのかなと思いますが、どうでしょうか。



回答:シンプルに、オーストラリアやアメリカの債券で運用すれば良いだけでは??

pen nameさま、当サイトへのご相談ありがとうございます。超低金利の銀行預金には本当に困りますよね。そんな背景から、少しでも資産を増やしたいと思う気持ちはよく分かります。

ただ、そんな時に安易に保険商品で運用してみようと思うのは、いかがかなとは思います・・・。回答では、管理人の思うところを率直に申し上げたいと思います。

三井生命のドリームロード



まず、ドリームロードのコストが高すぎて仰天しています


三井生命が販売するドリームロードは、外貨建てで一定期間の保障と資産形成ができる商品のようですね。よく見かける保険商品です。昨今は、高金利の外貨で資産を増やす事がひそかにブームになっていますから、注目が集まっているのだと思います。

ドリームロードの商品ページhttp://www.mitsui-seimei.co.jp/products/dreamroad.htm


管理人が何度も言っている事の1つに、生命保険と資産形成は分けて考えて下さいという点です。生命保険のコストは超高い事で有名ですし不透明な部分が多いので、金融庁も大いに問題視していて、特に外貨建て終身保険はボッタクリ生命保険の「代表作」だとして怒っています

さてドリームロード、簡単に言うと、日本国債よりも金利の高い「アメリカ合衆国の国債」または「オーストラリアの国債」で運用されるようです。生命保険の仕組みは、下記のイメージです。

三井生命のドリームロードのイメージ


ドリームロードの紹介ページを熟読していたのですが、驚くのは、コストの高さです。その一部をご紹介してみましょうか。


契約初期費用としてトータルの一時払保険料に対して7%の手数料を支払い


契約時に一時払保険料に対して、最大7%の手数料を支払う必要があります。トータルの一時払保険料(基本保険金額)に対して、7%の手数料を支払います。ですから、契約した瞬間に総資産が7%減ることになります

世の中のどこに、いきなりマイナス7%もの不利な条件で「資産運用」をするバカ者がいるというのでしょう? こんな阿保らしい金融商品を平気で売りつけるお金の関係者に怒りを感じます。


保険契約関係費用の詳細が不明なため、負担額が分からない


保険と言えども、資産を増やす目的で契約するなら、それは完全に「投資」です。そしてその投資内容に不明な点がある事自体が問題です。保険契約関係費用とは、以下のようなものとの事ですが、一体いくらかかるか分からないコストを支払うのは、やはり馬鹿げています。

・保険契約の維持、死亡保障などにかかる費用のことです。
・ご契約後に定期的に責任準備金から控除されます。なお、保険契約関係費用は、年齢・性別ごとの発生率を用いて算出しているため、一律の算出方法を記載することができません。



年金を受け取るたびに最大1%の手数料を徴収される


毎回、年金を受け取るたびに、最大1%の手数料を徴収されます。「1.0%を上限とする率をお支払いする年金額に乗じて得た金額が、年金支払日に責任準備金から控除されます。なお、年金に関する費用を算出するために用いる率は、年金開始日の予定利率に応じて定まるため、記載することができません。」などと書いてありました。これも実に阿保らしいコストです。


まとめると、総契約時の金額の7%を契約手数料として召し上げられて、年金受け取り時に1%の手数料を支払うのは、相当の高コスト金融商品です。資料を見ても、運用時のコストを読み取れませんでしたが、相当なコストを要求してくると思われます。

契約者が良く分かっていないところから金を抜き取る商品は、最強です。保険は一生涯の商品なので、一度契約させればかなりの安定的な高い収益が期待できます。もちろんそれは、あなたではなくて、金融機関が大変嬉しいのです。



為替のリスクを甘く見ていませんか?


pen nameさまのコメントを見ていて、とても気になった事があります。それは、為替のリスクを多少は回避できると思っている事にです。「為替のリスクはありますが、すぐ円にしなくてもいい方法もあるので、多少は回避できるとも理解しました。」と書いていますね。

本商品は、10年、15年と超長期で運用するものです。確かに、すぐに円に換える必要は無いでしょう。しかし為替のリスクは短期間の運用だろうが長期間の運用だろうが、増えたり減ったりすることはありません。常に同一です。多少回避できる事とは、まったく別次元のお話しです。どう理解したのか、とても不安になります。 例えば、米ドル、豪ドルの為替レート10年をご覧ください。

●アメリカドルの為替レート

アメリカドルの10年のレート


●オーストラリアドルの為替レート

オーストラリアドルの10年のチャート


pen nameさまは、豪ドルで運用をしようと考えているようですね。確かに、昨今の豪ドルは横ばいで、安定しているようにも見えます。しかし、平気で1割~2割程度の変動が頻繁に起こっていることが分かります。(米ドルも同様です)

1年くらい解約するタイミングを調整すれば良いかと安易に考えていると、数年以上も換金できずに、損してでも年金として受け取る羽目になる可能性は十分にあります。



予定利率は魅力的なようで全く魅力は無し、シンプルな債券運用で十分なリターン


ドリームロードの予定利率をみると、確かに魅力的なようには見えますね。定期預金の金利が0.01%の状況に対して、2~3%の利回りで運用されるならば、為替リスクを承知で資金を託したくなる気持ちは分かります。 (予定利率と金利は同一ではありませんが)

三井生命のドリームロードの予定利率


本来ならば、高金利の銀行の定期預金を利用して下さいとおススメするのですが、多少のリスク承知で運用するならば、別の提案をしようかと思います。話しは簡単で、生命保険とセットになった商品を活用せずに、直接、米国の国債や、豪ドルの国債で運用すれば良いのです。

例えば、オーストラリアの債券で運用したいならば、ネット証券(SBI証券や楽天証券)で、i-mizuhoオーストラリア債券インデックスあたりを買い付けて、長期で放置すれば良いのです。

この商品は購入手数料は無料ですし、年間のコストも0.5%以下と超低コストです。コストの段階で、圧倒的に有利です。しかも一括で投資せずに積み立て投資をすれば、価格が低いところで口数をたくさん仕込めますから、ちょっとでも価格が戻った時の資産の増え方はかなりのものです。

アメリカやオーストラリアなどの、複数の先進国(日本を除く)の債券で投資しようと思えば、今なら年間コストがたったの0.17%しか取られない、eMAXIS Slim 先進国債券インデックスなどという商品まであるご時世です。

とうか純粋に、「あれだけコストを取られまくるドリームロードの利率が、たったの3%未満かよ!」と驚いていると言ったほうが良いかもしれません。あまりに、支払ったコストに対してのリターンが少なすぎる印象です。

ドリームロードも、私が示した投資信託も、結局は同じアメリカやオーストラリアの国債に投資する訳ですから、本質は全く同じだと考えて良いでしょう。

それなのに一方は猛烈にコストが高くて極めて低いリターンしか想定できないのに対して、超低コスト投資信託であれば業者が泣きそうになる低コストで、リターンの上限などありません。15年も積み立て投資をしていれば、まず損する事もあり得ないでしょう。

更に、投資信託を取り崩したくなったら、一挙に取り崩さないで、SBI証券の投資信託・定期売却サービスという、無料のサービスを使えば盤石です。

参考SBI証券自体の特徴などはコチラをご覧ください


ドリームロードで、更に金かけて円建年金支払特約などなど、妙な特約を付けまくるよりも、断然優れたサービスと言えます。資産を取り崩しながら、残った資産は運用を継続できるので、メリットが大きいと言えましょう。

もちろん、老後の為替リスクをゼロにするために、100%現金化するのもアリです。その場合は、単純に高金利の定期預金に預けておけば、年金を支払われるたびに1%の手数料を支払うような、ボッタクリレベルのコストから完全回避できます。


どうしても為替リスクを無くしたい人に、非常に相応しい商品もある


どうしても為替リスクが嫌だという人は、為替ヘッジを付けて為替リスクを回避したものもあります。たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>です。かかるコストは、年に0.2%のみ。

これと同じタイプで、運用期間の長い投資信託の基準価額を見ると、4年間で9%のリターンが出ています。普通に、こういうものに投資すれば良いだけなのではないでしょうか?

為替ヘッジありの外国債券インデックスファンドのリターン


他にも例がないか探してみましたところ、ちょうど15年間運用している外国債券インデックスファンド(為替ヘッジあり)がありましたので、その事例を。グラフは2007年から始まっていますが、運用は2002年に10000円から始まって、今の価格は13556円です。15年間で、1.35倍です。

為替ヘッジありの外国債券インデックスファンドの10年以上の運用履歴


なお参考までに、安全資産の債券ではなくて、リスク資産の株式に投資をすれば、もっとかなり儲かります。ただし株式への投資は為替ヘッジを付けても、株価の変動はかなり大きくなりますので、リスク耐性がある人向けの投資になります。

という事で、・・・保険屋の言う事を鵜呑みにしてしまう人は、資産を増やしたいという強い欲求がありながら、自らその可能性を猛烈に狭めてしまう事になります。

資産運用はシンプルでコストの安いものを選べば選ぶほど、運用者のリターンが向上します。コストの塊のような保険を相手にして、保険屋が一方的に大喜びするような事だけは、避けたいですね。