外貨建て生命保険や個人年金のデメリットの説明と解約タイミングについての考え方

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外貨建て保険は良くないと聞いて、解約のタイミングに悩んでいます


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頂いたご質問(2018年4月、KYさま、40代・女性)

こんにちは。生命保険の会社の方に「ドリームロード」という商品を勧められ、ネット検索をしていたら「定期預金の鬼」にたどり着きました。手数料7%というのがひっかかっていて・・・、「定期預金の鬼」にたどり着けて良かったです。

今回、質問したいのは外貨建て保険についてです。平成27年、知人に勧められてプルデンシャル生命の米国ドル建て生命保険とジブラルタ生命の豪ドル年金に加入しました。

外貨建て保険の解約に悩む


ですが、そのあとに外貨建てのものは良くないということを知りました。これは加入してしまったんだから、そのままにしておく方がよいのか、早々に解約した方が良いのか・・・。解約するとしたら、どういうタイミングですれば良いのか?

こういうことに疎くって考えあぐねております。どうするのが良いのか教えていただけると助かります。よろしくお願いします。



回答:確かに大いに問題のある商品なので、できれば早いうちに解約が望ましい

KY様、定期預金の鬼への問い合わせ、ありがとうございます。このところ外貨建て保険に関するトラブル相談がとても増えているようですね。今回のご質問に関しても、下記のような記事を読んで頂くと、これがそのまま回答にもなると思います。ぜひ目を通してみてください。

参考記事「外貨建て保険」に潜む恐ろしい"闇"と"ワナ"


当サイトでは、これまでにも外貨建て保険の問題点について指摘しています。KY様の不安を解消できるよう、管理人の考えを述べさせていただきます。ぜひ参考にして頂ければと思います。

さて、KY様は、加入してしまった保険をどうするべきか、悩んでいらっしゃいます。まず結論を先に書きますと、問題があると気づいた時点で、勉強代だと考えてすぐさま解約すべきです。これはKY様でなくとも、外貨建て保険の問題点を理解すれば、自ずと答えが導き出されるものです。

外貨建て保険を長期保有した時の最大の問題は、高額なコスト負担と為替による損失、この2点に尽きます。詳細は後述で解説しますが、これらのリスクを考えたら、すぐさま解約して、シンプルな金融商品に変更したほうが良いのです。

これらのリスクに関して、以下の2つ商品を保有していると仮定して、簡単に解説いたします。

プルデンシャル生命の米国ドル建て生命保険:米国ドル建終身保険(無配当)

プルデンシャル生命の米国ドル建て生命保険


ジブラルタ生命の豪ドル年金:通貨指定型個人年金保険

ジブラルタ生命の豪ドル年金


そもそもの目的からして、保険はリスクをヘッジするものであり、資産を増やすなどと言う余計な事をやろうとするから、今回の商品のように、多大な「無理」が生じます。典型的に、日本人の「保険好き」と「投資嫌い」を逆手に取った商品と言えます。

ではなぜ、外貨建ての個人年金保険に問題を感じるのか、解説したいと思います。



生命保険会社が売りつける商品の多くは、コストが不透明で判断不能


10年・20年の保障を受けるための終身保険や、年金保険に加入するのならば、どれだけのランニングコストがかかる商品なのかをチェックするのは、とても重要なことです。

わざわざ外貨建ての終身保険、個人年金保険に加入するということですので、国内で運用される保険よりも金銭的にお得になる事を期待していると思います。しかし、コストが高ければ、私たちの手元に残るお金も減ってしまうので、長期保有を考えた場合に、コストは無視できない項目です。


契約初期費用(契約時の手数料)が不透明すぎてとても不安


生命保険会社の商品は、契約時に数パーセントの高額な手数料が必要になることが一般的です。例えば人気のある三井生命のドリームロードの契約時の手数料は、なんと7%です。

こんなダメ商品に数百万円、例えば500万円とか多額のお金を出して買ってしまうような人がおられるとしたら、商品を買った瞬間に、保険に回せるお金が35万円も減ってしまう訳で、「そんなバカな話があるか!」と憤慨する訳です。

しかし、この手の似た内容の商品の手数料は7%前後だとは想像できるのですが、プルデンシャル生命の米国ドル建終身保険(無配当)や、ジブラルタ生命の通貨指定型個人年金保険の手数料を調べようと思っても、明確な数字が提示されていません。

販売する金融機関によるとの記載もありましたが、いったい、どの程度の相場になるのか明記されていない時点で、不信感が高まります。今どき、株を買うのもFXをやるのも、投資信託などを買うのも手数料はきちんと開示されています。

これが、どういう訳か保険に限っては、大半の商品は非開示になっています。金融庁が開示せよと迫っても、業界全体として大反対であり、全く聞く耳を持たない状態です。よほど、隠しておきたいのでしょうね。7%以上をぼったくるのが通例になっているのかもしれません。


保険契約関係費用の詳細が不明で、負担が全く分からない


外貨建て終身保険・個人年金では、契約者から集めた資金を運用します。その運用益が収益源となります。つまり、我々の代わりに「投資」をしているのです。

たとえば、ジブラルタ生命の豪ドル年金では、資料を見ると積立利率1%で(最低でも0.05%が保証)運用されます。しかし、積立利率は以下の「保険契約関係費用」を差し引いた後に残る運用益で決まります。




これらの保険契約関係費用を明確に提示しておらず、いったいどれだけのコストが運用益から差し引かれるのか全く分からない状況は、とても問題です。

投資を理解して、保険という商品の問題点も知っている人ならば、すぐさまこう考えます。「訳の分からない高額なコストを支払うくらいなら、自分で投資したほうがはるかに良い結果をもたらす」と。

どうせ投資をするならば、運用益の大半を保険会社が持って行って、その残りから更には保険契約関係費用を差し引いた「残りカス」みたいな、わずかな利益しか返ってこないのが、保険でお金を増やそうとすることの結果なのです。



外貨は金利が良いとしても、為替変動が大きいので、そんな金利には意味は無し


次に、外貨建ての商品には為替で損失が出る可能性があります。以下の、直近5年の米ドル(左)と豪ドル(右)の為替チャートをご覧下さい。




米ドルは、ボックス園で為替が落ち着いているように見えますが、ふたたび円高になりそうな気配も見えますし、今後の動向は本当に分かりません。豪ドルに至っては円高が続いていますので、2013年以降に豪ドル建ての年金を始めた方は、為替による損失が積みあがっているのではないでしょうか。

そもそも、為替の先行きはプロでも予測困難な代物です。今後の為替動向について、誰に聞いたとしても、確実な答えを聞ける事はありません。(そんな見通しを断定的に言う人がいたら、そいつは詐欺まがいの輩ですから要注意)

株式投資であれば、世界経済の成長に伴って長期では常に右肩上がりになるので、一時的に損失が出ていても、10年20年と積み立てて言った場合には、いずれリターンが付いてくることはほぼ間違いないと考える事ができます。

しかし、為替はゼロサムゲームなので、いくら長期に持っていても利益が出るか出ないかは確率50%ずつの、ギャンブルに似た世界です。将来は円安になるかもしれないなどと営業マンは適当な事を言いますが、為替動向ほど分からないものは無いのです。

従って、極力元本割れを嫌うような人が、どうしてこんな「為替の風任せ」の保険に引っかかってしまうのか、当サイト管理人は全く理解不能です。外貨は金利が良いとしても、為替変動が大きかったら、その金利にはほとんど意味はありません。


管理人が積み立てている、マニュライフ生命の外貨建て個人年金の事例


と、人様に指図などしておきながら、実は当サイト管理人も、「マニュライフ生命の外貨建てこだわり個人年金」という、ボッタクリクズ商品に、毎月1万円を積み立てています。

ただしこれには意味があって、これは銀行で契約したのですが、私は銀行とのパイプを一定に築かねばならない立場上の問題があるのです。運営している会社に対して、銀行から融資を受ける必要がある事から、ごくまれに、銀行から「入ってくれ」と頼まれると、「協力」せざるを得ないのです。

そして、銀行が加入させたがる最右翼が、マニュライフ生命の個人年金だったという事で、これを売ると手数料収入で銀行は大喜びになるという事が何となく想像できますね。

で、解約の話です。もしも早期に解約すると、以下のように戻ってくるお金(返戻金)は半分以下になる事もあります。非常に不利に見えますね。積み立て利率が低いままだと、おおよそ17年経過しないと、解約で元本割れが想定されています。・・・しょーもない商品だな。。。




ただし、解約するとなると、なるべく初期に損切りしたほうが、痛手は少ないですよね。

以下のように、返戻率はだんだん高くなりますが、損切り金額自体は積立額の少ない初期の方が少なくなりますので、私だったらだんぜん、早ければ早いほど手元から無くなるお金が少なくなりますから、速攻で損切りします

経過年数 保険料払込金額
(円)
返戻率 戻ってくる金額
(100円以下切り捨て)
損失金額
1年 12万円 28.6% 3万4000円 8万6000円
3年 36万円 57.4% 20万6000円 15万4000円
5年 60万円 69.5% 41万7000円 18万3000円
10年 120万円 93.4% 112万円 8万8000円
15年 180万円 99.0% 178万2000円 1万円
20年 240万円 103.4% 248万8000円 プラス転換


10年ほど待つと損失金額が減るので、一見するとそのあたりで解約したくなりますが、10年間も資産運用をするならば、投資の方がはるかにリターンが高くなる可能性が大なので、上記の例では「たかだか最大で10万円程度損切り額を減らすために10年もお金を寝かせるのはもったいない」という判断になります。

KYさまは、私と同様に積み立てで商品を買っているのか、あるいは一括払いにしているのか、どちらでしょうか? それによっても解約タイミングは違う判断になるかもしれません。

もしも解約について更に突っ込んだ回答が欲しければ、商品の具体的な内容と、解約返戻金のシミュレーション表をお送りくださいね。



全く非合理な商品を選ぶのではなくて、シンプルな金融商品をセレクトしましょう


以上、今回のご質問に関しての管理人の回答でございました。まとめますと、コストが異様に高いと想像されるのに、リターンは非常に低く、そのリターンも為替の動向によってマイナスになる可能性も相当に高い商品、という事になります。

おまけに、解約の時期によっては大幅に元本割れが確定してしまって、自由な解約を制限された商品という側面もあります。

要は、そのような商品を購入する事が、消費者として賢い行動なのか愚かな行動なのか、胸に手を当てて冷静に考えましょう、という事になりますね。

今では、超絶にコストの安い金融商品で、国家が公式に節税(または無税)も認めている、超有利な投資ができる時代です。iDeCo(個人型確定拠出年金)と、つみたてNISAの2つの制度です。

これらは投資になりますが、長期投資であれば怖い事などはありません。賢い人は、それらで投資をする一方で、当サイトでもご紹介しているような高金利の定期預金との二本立てで資産を増やしています。保険のような非合理な商品は、相手にしないようにしましょう。

保険はリスクをヘッジするもの、という大原則を忘れてはなりません。交通事故のリスク、火災のリスク、病気になるリスク、早死にするリスク、・・・そういったものをヘッジする目的のものです。

お金を増やすのはリスクではありませんよね? そこを間違えると、保険会社の毒牙にかかりますので、じゅうぶんにお気を付け下さいませ。