マニュライフ生命の未来を楽しむ終身保険は消費者に振りすぎる商品だという口コミ記事

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マニュライフ生命の「未来を楽しむ終身保険」・・・余りにも消費者に不利すぎる


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頂いたご質問(2018年4月、ゆうおさま、30代・男性)

はじめまして。ちょっとした余剰金があり、保険代理店で運用について相談したところ三井生命のドリームロードを勧められました。ネットで概要を調べる際、「定期預金の鬼」サイト様へたどり着きました。色々と引っかかる説明でしたので、加入前に情報を得ることが出来てよかったです。

マニュライフ生命の「未来を楽しむ終身保険」


その他にも、資産運用としてマニュライフ生命の未来を楽しむ終身保険を勧められました。ドリームロードより内容が複雑で、パンフレット等を読んでいても必要な保険費用が分かりづらいのですが、こちらの商品はいかがでしょうか。ご意見頂けましたら幸いです。



回答:複雑怪奇、「投資」の部分も含めてコストの塊であり、全く使う気になれない

複雑で難解な金融商品は決して買わないという大原則


定期預金の鬼へのご質問ありがとうございます。資産運用として、マニュライフ生命の未来を楽しむ終身保険を勧められたとのこと。本ページでは、資産運用が目的との視点で、管理人の考えを述べさせていただきます。

さて質問者様のご指摘通り、マニュライフ生命の未来を楽しむ終身保険の中身は、とても複雑です。この保険について簡単に言うと、運用益を定期的に引き出すタイプと、ある一定の目標額になった時にお金を引き出すターゲットタイプが提供されています。

本ページでは、定期的に運用益を受取る「定期引出タイプ」に注目して解説したいと思います。いつ運用益を引き出せるのかハッキリしないターゲットタイプよりも、まるで毎月分配型投資信託の如く定期的にお金が貰える金融商品のほうが、だんぜん需要があると思ったからです。

未来を楽しむ終身保険の2つのタイプ


この定期引き出しタイプも極めて難解で、金融商品を買うか買わないかの大原則「分からないものに手を出してはならない」に明確に反するような商品です。

世の中には極めてシンプルな金融商品があるにも関わらず、何故かこのような複雑怪奇なものに手を出してしまう人の方が多いようで、まずはそこで、当人のファイナンシャルリテラシーが問われていると言って良いでしょう。

また、定期引出タイプは15年間の運用が原則となっています。途中で解約した場合の計算がとてもややこしいので、今回は中途解約をせずに15年間契約して運用したとの想定にします。また、契約時は日本円で保険料を支払うものとします。

まとめますと、以下の条件で、「マニュライフ生命の未来を楽しむ終身保険」を使った資産運用に価値があるのかどうか、管理人の考えを述べさせていただきます。

・主目的は、資産運用
・運用益の定額受け取りができる定期引出タイプをチョイス
・保険金は、日本円で払い込み
・途中で解約せずに、15年間運用する




未来を楽しむ終身保険の「定期引出タイプ」とは


まずは、未来を楽しむ終身保険の定期引出タイプについて解説します。この金融商品は、最初に払い込んだ保険料を定額部分と変額部分に分けて、その資金を米ドル建て、又は豪ドル建てで運用する終身保険です。終身タイプですから、契約後、一生涯の死亡保障がセットになる生命保険です。

未来を楽しむ終身保険の商品設計


契約時の保険料(一時払保険料)について


未来を楽しむ終身保険の保険料は、日本円、米ドル、豪ドル、ニュージーランドドル、ユーロで払い込むことができます。日本円以外で払い込む場合には別途費用が掛かるようですから、ここでは日本円で契約したと仮定します。


15年後に一時払保険料の105%での払い戻しが最低保証


未来を楽しむ終身保険の目玉の一つは、15年の運用を終えたら、一時払保険料の105%の積立金を受け取れる点にあります。これは定期的に受け取れる運用益以外に保証される積立金ですので、嬉しいと感じる人がとても多そうですね。

例えば日本円で1000万円の保険契約をすれば、15年後に1050万円が受け取れる事になります。15年で利息50万円というのは、金利0.32%の定期預金を非課税で複利運用したのと同等の効果です。

いまどき金利0.32%の定期預金は、なかなかお目にかかれないので、これはこれで悪くないと感じます。

ただ、以下に書くような大問題を抱えた保険ですから、15年間で105%の一時払い保険料を狙うのであれば、10年間で103%を受け取れる、明治安田生命の「じぶんの積立」のほうがはるかに良質な商品だと思いますね。



保険料の一部を運用して、定期的に運用益を手にすることができるのだが・・・


未来を楽しむ終身保険は、払い込んだ契約金は定額部分と変額部分に分けて管理されます。注目すべきは、この変額部分(特別勘定と呼ばれています)の資金を使って運用される点にあります。

未来を楽しむ終身保険の変額部分の運用イメージ


特別勘定というと言葉が非常に難しいですが、「投資信託」に置き換えてもらうと分かりやすいです。特別勘定と呼ばれる資金は、基本的に株式を利用して運用されます。

これらは日本、米国、欧州の株式へ均等に配分されて運用される仕組みです。また、株式市場の変調で相場が荒れてきた場合には、先進国債券や金・銀などの安全資産に、切り替える仕組みとなっています。

・・・と、こう書かれると一般の人は「この仕組みは素晴らしい!これならば資産を減らさずに、逆にどんどん増える!」と考えてしまうかもしれませんね。

しかし、投資信託マニアである管理人からすると、このような運用の仕方は、もう笑ってしまうほどに典型的な、高コストのボッタクリ投資信託がやっているのと全く同じです。

このように、相場の状況に応じて資産を機動的に組み替えるバランス型の投資信託は、普通にネット証券などで簡単に買えるのです。ただし、運用成績はヘボすぎる事にしかなりませんけど。

それから、未来を楽しむ終身保険の運用面でとても気になることがあります。それはリスクの高いレバレッジ取引を使って、運用してる点にあります。

契約締結前交付書面兼パンフレットを読み込んでみると、特別勘定の資金で上述の運用を実現するために、ダイナミックベータ戦略連動債券(米ドル)、またはダイナミックベータ戦略連動債券(豪ドル)に投資すると書いてあります。

未来を楽しむ終身保険の特別勘定


これらの指数連動債券は、どうやら特別勘定(投資信託)の少ない資金を効率的に運用するために、レバレッジ取引を採用しているようです。

つまりレバレッジ効果によって、収益が3倍になる可能性があるのと同時に、損失も3倍になるかもしれない、超絶大きなリスクを抱えています。このレバレッジ取引によるリスクがとても気になります。


未来を楽しむ終身保険の特別勘定のレバレッジについて


上の図では、レバレッジによって資産が3倍に増えているようにしか描かれていないので、一般人は「これは凄いな~」としか思わないでしょうが、マイナス側に減るリスクも同等にあるという事を忘れてはなりません。

それにしても、このような「妙なやり方」かつ、出来る訳がないような資産の機動的な入れ替えをやるような特別勘定(投資信託)など、一般の個人投資家にとっては全く必要のない代物です。

もしもこんなものが普通の投資信託の世界に有ったとしたら、あまりの分かりにくさに個人投資家から大クレームが来るかもしれませんし、金融庁などはかなり激怒するのではないかと思います。

不思議な事に、こういう商品が保険の中に組み込まれると、途端に消費者はおとなしくなって、理解できないにもかかわらず素直に受け入れてしまうのです。複雑な保険は、消費者の正常な思考能力を失わせる効果があると見えます。





保険の保有中に必要なコストが高額で驚き


未来を楽しむ終身保険の保有中にかかるコストは、保険関係費、運?関係費、金融派生商品の取引にかかる費用の合計となります。それぞれの費用について、簡単に解説します。


保険関係費について


これは死亡保険?の最低保証のための費?、および保険契約の締結・維持に必要な費?となります。ただ、保険関係費用については数値が一切掲載されていませんので、具体的な負担は分かりません。

保険契約するのに、一体いくらのコストがかかるのか分からないなんて、全く使う機会がしません。なお、変額部分(定期的な利益を得るために資産運用する部分)の費用は、後述します。


運?関係費について


これは特別勘定、つまり(投資信託の)資産運?の資金にかかる費?のことです。定額部分、変額部分、それぞれに必要経費が異なります。

定額部分の保険関係費:積?利率を決定する際に、あらかじめ差し引かれる類の経費です。
変額部分の保険関係費+運用関係費:毎?、変額部分の積??から控除されます。以下のような 費用となり、年間では合計で年率2.05%とかなりの高コストです。

未来を楽しむ終身保険の特別勘定のコスト


上記は、「投資信託」の運用コストと読み替えていただいて結構です。そして、この年率2.05%という数字は、世の中のボッタクリ高コスト投資信託でさえも、ここまでの高いコストを取るものはほとんどありません。それほどまでに、呆れるばかりの高コストです。

良いですか? 年率2.05%という事は、15年間の運用で30%強もの元本が、コストだけで失われる格好になるのです。あなた一体、他人にそんな多額の金を支払う資産運用が、マトモだと思いますか?

知りもしないファンドマネージャーに、3割の金を渡して「中身はよう分からんが、とにかくお願いしますわ」と言って資産運用させているようなものです。

この「3割もの失われる資金」を必死こいて運用で取り戻した上で、変額部分として契約者に支払いを行おうというのですから、かなり割に合わない投資になる可能性が大です。


金融派生商品の取引にかかる費用について


さらに、レバレッジ取引や売買に伴う費用を負担する必要があります。これらは特別勘定の保有資産から負担するので間接的に負担しており、表には見えづらいコストです。

有価証券の売買・保有に伴う費用の具体的な数字は不明なのですが、レバレッジ取引にかかる費用としては、3倍に増えた実質運用資産に対して、年率1.4%以内のコストが必要になります。この隠れたコストも馬鹿になりません。

未来を楽しむ終身保険のレバレッジに関わるコスト


正直言って、どんだけ色んなところからコストをむしり取るつもりなのかと言いたいです。

だったら、3倍減った場合は1.4%分、契約者に返してくれと言いたい。先ほどの2.05%の信託報酬も同じです。そこまで取るなら、運用が上手くいかなかったら返却しろよと言いたくなるほどの高コストです。

「未来を楽しむ終身保険」を保有中に必要となる費用は、想像以上のかなりの高水準だなと思います。このように商品設計を複雑にして、コストがどれだけかかるのかを分かりにくくするのは、保険会社の常套手段です。こんなものに付き合うのは、実に馬鹿らしいことです。



未来を楽しむならば、シンプルで分かりやすい商品の方が最適です


バックデータには大層な事が書かれているが・・・


先ほども書いた通り、未来を楽しむ終身保険のポートフォリオは、よくありがちな典型的なボッタクリのアクティブファンドのやろうとする事とまったく同じです。 レバレッジを効かせて、機動的に運用して利益を狙う分、とても高いコストを要求するというものです。

このようなファンドは、複雑な事をやろうとして自ら発生させたコストに自滅して、結局のところ平凡な運用成績になることがとても多く、コストに見合ったパフォーマンスが得られません。この保険も、似たような事になるのではないのかなと思います。

そもそも、変額部分で資産運用を15年間もやるのに、一時払保険料の105%での払い戻しが最低保証される仕組みは、「資産は増やしたいけど元本割れは極端に嫌う」という事だと思います。リスク許容度が低いのに異様に強欲な、ダメ投資家の心に刺さる商品設計です。

ちなみに、過去のシミュレーション結果が提示されてていますが、定額部分と変額部分の利益を合わせて、15年で100の資産が、248(変額利益の143+定額の最低保証の105)になったと書かれています。シミュレーションは将来を保証するものではありませんが、この数値を説明されれば、なんとなく凄そうだと感じるものです。(ちなみに年率6.3%のパフォーマンスとなります)

未来を楽しむ終身保険の定期引き出しタイプの過去データ



これに対して、運用レポート(月報)を見てみると・・・


上記を見るとそれなりに運用が上手くいっているように見えますが、バックデータを提示するのに「ダメだった時の記録」など見せる事はあり得ませんから、実際の運用報告書を閲覧するのが一番。

過去15年とか書いてあるのに、未来を楽しむ終身保険は売り出されてからまだ3年に届かないくらいの期間しか経過していません。したがって、3年未満の実績を見る事になります。現時点の最新の月報を、以下の通りリンクしておきます。

https://www.manulife.co.jp/servlet/servlet.FileDownload?file=00P1000000pPD40EAG

未来を楽しむ終身保険の特別勘定の運用成績


参照指数というのが運用目標と言って良いと思いますが、その数字、設定来105.04%というリターンに対して、特別勘定の基本ポートフォリオが33.49%にしかならないと見るとしたら、全くダメダメな運用実績だという事になります。

・・・が、図に載っている「債券」とは一体何を指すのか意味が分かりません。あまりにも基本ポートフォリオと参照指数に差が付きすぎているので、それを運用目標のようなものと判断して良いのかも、正直分かりません。実に意味不明な運用レポートであり、このようなものを毎月出されても困惑するしかありませんね。


普通に投資信託を買っていても、きちんとリターンが出る


それにしても、「投資」でリターンを上げたいのであれば、ネット証券で誰でも自由に買い付けのできる、低コストのバランスファンドで十分だと思います。

例えば、マイバランス(確定拠出年金向け)70などは過去16年の運用実績があり、設定来のリターンを見ると229%となっています。また、三菱UFJプライムバランス(確定拠出年金)成長型なども15年以上の実績があり、243%のリターンを出しています。

上記の2つは、それぞれ信託報酬は年率0.2%~0.3%程度しかかかっておらず、こういうものでも普通に、長期投資をすると非常に高いリターンが得られるのです。

(バランスファンドで比較しましたが、世界各国の株式だけで運用するファンドならば、もっと大きなリターンを期待できます。)




ご自身の資産運用において、投資の部分は投資専門の金融商品を、そしてリスクをヘッジする商品はそのリスクの部分だけを設計した保険を選ぶのが基本中の基本です。

特に保険は、本来の目的とは異なった「投資」の部分を強引に組み込むことで、非常に不透明な(=消費者にとって不利になりかねない)商品になってしまっています。

冒頭でも記したように、「中身の良く分からない投資は決して行ってはならない」というのが大原則であり、よく分からぬものに平気で投資するような人は、絶対にお金持ちにはなれないのです。

なお、上記2つの投資信託はそれぞれ確定拠出年金専用です。これに似たような資産配分比率で、一般の証券口座でも購入できる投資信託が沢山ありますので、そういったものを選ぶようにしましょう。

もしも定期的に分配金を受け取りたいならば、そういった投資信託をSBI証券の投資信託・定期売却サービスを利用して保有すれば、毎月分配のような形にする事もできます。