金利が上昇する中での住宅ローンは固定金利と変動金利のどちらが良いのかの検討

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住宅ローンの借り入れは変動金利と固定金利のどちらが良いのか?


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頂いたご質問(2018年10月、エンジェルハートさま、50代・女性)

はじめまして。現在、結婚式を控えた息子夫婦が家を購入予定で探しています。良さそうな物件があったのですが、ローンを組む際、不動産屋でも、意見が分かれていてご教授いただきたく投稿しました。よろしくお願いします。

住宅ローンの借り入れのポイント


まず、息子夫婦は公務員共働き。20代後半、同い年。4000万前後のローンを組む予定。近々の場合、金利が安い変動金利がいいのか、期間固定変動金利が良いのか、迷っています。

また、日銀にお勤めの方が最近固定金利で借りてたから固定をおすすめといわれましたが、変動と比べると倍弱ちがいます。今の時期、どういう借り方がいいのでしょう。

また、諸費用を含めた上で、どこの銀行で住宅ローンを組むのがおすすめか教えていただけると嬉しいです。千葉県在住です。(ネット銀行でも、地銀でも)これから金利は上がってしまうのでしょうか?(借りる上では不利)



回答:金利が上がるか下がるか予測するのは、神様以外は無理です

エンジェルハート様、当サイトにご質問をいただきまして、ありがとうございます。なるほど、息子さんご夫婦がマイホームを探しておられるとの事ですね。ご結婚をされるという事で、大変おめでとうございます。


金利の上昇を過度に怖がる必要はない


さて今回のご質問です、20代で4000万円の住宅ローンは高すぎるのではないかと思いましたが、ご夫婦ともに公務員でいらっしゃるならば、ここはそんなに危険性はありませんね。

唯一、リスク(=金融の世界では不確実性という意味で使う言葉で、一般の人が使うリスクはDangerという意味であり、両者は全く意味が異なります。)であると言えるのは、ご心配の通り金利の変動リスクになります。

ところが、金利の動向などは、世の中には気軽に予想する人が大量におりますが、基本的には先の事など全く分からないというのが現実です。

下記、基本となる日本の10年国債の利回りの超長期チャートです。私が投資を始めた2007年以降も、一貫して右肩下がりです。

当時からずっと、「こんなに金利が低いのは長続きしないので、今後は上がるに違いない」と専門家は口を揃えて言っており、実際はその真逆で更にドンドンと下落していったのが実態でした。

日本の10年国債の利回りの超長期チャート
(チャートはhttps://www.iecon.jp/loan/loan_kinri.htmlより拝借)


ただし直近の10年チャートを見ると、金利は上に向かい始めているのではないかと見る事も可能です(赤枠の部分)。しかし、その直前に一時的にマイナス金利にまで突入した反動であるとも見る事ができ、ごくわずかに上を向いたからと言って、「今後は金利が上がる」と騒ぐのは早計です

日本の10年国債の利回りの10年チャート


金利は景気と密接に絡みます。景気が拡大すれば金利が上がり、不況になると金利は下がります。最近はリーマンショック以降の大きな好景気の真っただ中にあり、それでもその間に金利は下がり続けてきた訳で、そのうち数年して再び不況になれば金利など上がりませんから、過度に怖がることは全く無いと思います。

・・・と言うのが常識的な判断だと思いますが、景気が拡大したのに金利が下がるのは「変な事」です。となれば、景気が悪化しているのに金利が上がるような変調も無いとは言えない訳で、結局のところは金利の見通しなど、人間には判断がつかないことになります。

ちなみに、金利の動向を読む事が分かれば、債券価格を予測する事が出来る事になり、そんな人は大金持ちになります。また、債券価格(及び金利)と株式は密接に逆相関で連動することが多く、金利を予測すれば株式でも大儲けできることになります。

実際にはそんな人の話しは古今東西聞いたことがありませんので、(ごく一部の天才投資家は別でしょうが)、とにかく相場を予測する事は極めて困難であるという理解で宜しいでしょう

日銀の人が今後の金利上昇を見越して固定金利で住宅ローンを組んだと言っても、その人は勤務先が日銀というだけであり、金利の予測ができる人という訳ではありません。それならば、銀行員は金利の予測ができて、証券会社勤務の人は株式の予測ができるという事と同列であり、やはり実際にはそんな事ができる人は皆無に等しいですから、気にする事もありません。



当サイト管理人の住宅ローンは、変動金利と固定金利をミックスしています


さて、上記のような「判断不能なものを無理に判断しない」という判断を下したのちに、実際に私も平成25年にマイホームを購入した際に選択した金利プランは、変動金利と固定金利をミックスして借り入れをすると言う事でした。

35年返済で借り入れており、現状、変動金利は1.075%で月に37870円、固定金利は2.86%で21493円の返済となっております。全体の64%を変動金利にして、36%を固定金利にしていますね。

固定金利にするとあまりにも金利が高すぎて、月額の返済が高額になりすぎます。それを避けて、歴史的な低金利の今の現状を徹底的に享受すべく、全体の6割を変動金利にしています。

そして、35年も借りるのですから、今後の金利の上昇が無いとは言い切れませんから、4割を固定金利としています。

しかし、今回のご質問を受けて久しぶりに自分の住宅ローンを眺めてみて、固定金利の比率をもう1割ほど減らしたほうが良かったかな、とは思います。

いくら何でも10年国債の利回りが0%に近いこの世の中で、2.8%もの固定された高金利で借り入れをするなんて、まるで馬鹿げているとしか思えません・苦笑。

今後、仮に金利が上がるにしても、いきなりそれが何%も飛びあがって上昇する事などあり得ません。数年間かけて、変動金利を固定金利に変えるチャンスはある訳です。

そのチャンスの期間があるならば、今から2.8%もの利息を払う必要もあまり無く、変動金利が8割、固定金利が2割程度でも良かったかなとも思います。この辺りの割合の決定は、それぞれの心地よいと思える数字が一番でしょうから、ご自身で考えてみてください。



金利の安い住宅ローンを利用するのが良いですね


ところで、改めて自分の住宅ローンを眺めてみると、もっと安いネットの住宅ローンに借り換えをしたくなります。

私の場合は、5年程度したら転居して売却する予定ですので、実際には借り換えをする意味が無いので(借り換え時の諸費用を考えるとメリット無し)、あくまで長く住み続けた場合のシミュレーションですが、固定金利を全て変動金利にして、更に変動金利部分も今よりも相当安くなる場合の借り換え結果を提示します。

住宅ローンの借りかえシミュレーション


30年間で、諸費用を考慮に入れても250万円ほどお得になる勘定であり、毎月の返済も1万円近くカットできます。

変動金利で0.457%となっている部分が今後1%にまで上昇したとしても、今現実に借り入れている2本の金利の加重平均の金利、1.7176%から見ると相当に低い訳で、金額面では非常にメリットがあります。

というか、加重平均で1.7176%もの金利を支払っていると思うと、やはり固定金利をもう少し減らしておけば良かったなと、軽く後悔しています・笑。

参考住宅ローンの一括比較のサイトを利用


なお、上記までは、返済金額が常に一定の「元利均等返済」でお話ししておりますが、家計に余裕があるならば、初期に返済が多くて、後半になればなるほど金額が減ってゆく「元金均等返済」を選ぶ手もあります。

元利均等返済と元金均等返済
https://www.flat35.com/faq/faq_208-4.htmlより画像拝借)


元金均等返済ならば、直近の低金利の時の返済が多くなる訳で、より低金利を享受できます。「身分」が安定している公務員ならば、この返済方式を選ぶのも良いと思います。

金融機関は通常、「元利均等返済」で話を進めてきます。これは、大半の人がその返済方法を選択するからであり、自分から「元金均等返済もシミュレーションしてください」と申し出れば、計算をしてくれます。両方を計算して、どちらが良いかを検討すると良いでしょう。



住宅ローンよりも、あるいは金利よりも、いかに安く買うかが最も重要


さて最後に、実は最も重要なポイントがありますので、それも書いておきます。マイホームを買う時は、最重視すべきは価格だという事です。

幸いにも公務員だという事で、転勤は無いと判断して良いかと思います。そうであるならば、1つの地域でじっくりと、良い家が出てくるまで待つという事が可能になります(転勤のあるサラリーマンには出来ない事です。)。

同じ家でも、新築と中古では価格が2割ほども異なります。築年数が古くなれば、新築マイホームの半額くらいまで価格が下がります。

もしも新築で4000万円という事ならば、築年数が数年経った中古ならば800万円ほど安くなります。築20年ほど経過していたら、恐らく1500万円~2000万円ほど安くなると思います。

と言う事は、先ほど金利のシミュレーションで、30年で250万円の圧縮を見込んでいるような、要は金利が高いとか安いとか言っているようなレベルをはるかに超えて、家計へのインパクトがあるのです。毎月の返済額は著しく低くなりますので、住宅ローン選びよりもマイホーム選びそのものの方が極めて重要であるといえます。

住宅の取得価格こそが最重要


当方は、築10年ほどの戸建て住宅を購入しました。しかも、亭主が浮気して離婚となり、住宅ローンの支払いが滞って差し押さえになる一歩手前の任意売却物件を見つけて、それを購入しています。

標準的な価格では中古で3000万円弱ほどのお値段になるところを、2100万円と言う破格のプライスで買う事ができました。こういった点に気を配ると、もはや住宅ローンの高い安いなどはどうでも良いと思える状態になります。

既に買う家を決めてしまっている場合は別ですが、まだ検討の余地がある場合は、もちろん個人個人の価値観が多分に反映される問題だとは承知しておりますが、最低限、新築よりも中古の家を買うほうが宜しいのではないでしょうかと、申し上げておきたいと思います。