リバースモーゲージの賢明な活用方法について考えてみる

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東京スター銀行などで取り扱っているリバースモーゲージをどう思いますか?


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頂いたご質問(2019年1月、CHさま、50代・女性)

サイトでは、言及されていないので的外れな質問かもしれませんが、東京スター銀行などで取り扱っているリバースモーゲージに関してはどう思われますか?

子供がいない夫婦で、23区内の土地付き一軒家に住んでいて、ある程度貯金もある場合、リバースモーゲージなども視野に入れると、ますます敢えて投資をする必要もないのではと思ってしまいます。

というか、持ち家のある方は、リバースモーゲージを利用すれば、老後の心配はそんなにしなくてもいいように思うのですが。それとも、リバースモーゲージより住み替え等による資金作りの方が有効なのかどうか、まだ判断できずにおります。

リバースモーゲージ


現在の貯蓄額は、2人で6500万円くらいです。夫は69歳(17歳年齢差があります)で、一昨年前から年金収入(500万)になったので、今後足りない分は貯蓄を取り崩すことになります。

私は現在主婦ですが、贅沢をしなければ、生活に困らない予定です。(いざとなったら働けます) 都内で120坪の土地にある一軒家に住んでいます。借金はないです。

ただ、維持するのに経費(固定資産税や植木屋など)はかかります。1人になってしまったら持て余すかもしれません。老人になって、不動産関係の大きな取引をするのは不安ですが、今の家と庭には愛着があり、特に庭にはかなり情熱を注いでいます。

歳をとって1人になったら、ケア付きのコンパクトな住まいに引っ越した方がいいような気もする一方、リバースモーゲージを利用して様々な人を雇ってこの家に住み続ける可能性もあるかもしれない・・・と思ったり。

2人が何歳まで生きるかわかりませんし、認知症や大震災・・・、今後何が起こるかわからないので、判断が難しいです。しかし、夫が健在の間はこの家に住み続けた方がいいということだけは確かなような気がしています。

現在の悩ましいところは、どの程度お金を使ったら良いか心許ないので、色々と我慢をして倹約生活をしてしまっているのですが、もしかすると、そんなに我慢をせず、残された人生を(特に夫は)楽しんでもいいのでは?ということです。

元気なうちにもっと海外旅行などに行った方がいいのでは?とか。 老人になってお金が不足するのは避けたいですが、死後、たくさん残るのも残念なような・・・。



回答:どのような選択肢を取ったとしても、質問者様に特段の困難は無いように思われます

CH様、ご質問ありがとうございます。ご質問の件、リバースモーゲージのメリットやデメリットなどの説明も交えながら、今回の件に関する当サイト管理人の考えを記させていただきました。質問者様の属性を考えると、リバースモーゲージの利用に大きな問題は無いように感じます。

ただし、銀行からお金を借りる行為になりますので、これは紛れもなく借金となりますから、ご家族に大きな反対意見が出ない事が前提になるのではないかと思います。



リバースモーゲージ「充実人生」のメリット


メリット1:自宅に住みながら現金化できる


リバースモーゲージ「充実人生」は、自宅を担保にして、その評価限度額まで借り入れが可能な仕組みです。通常の借り入れが有限の返済期間になるのに対し、リバースモーゲージは一生の返済になるのが特徴です。

元本の返済は契約者が亡くなってからですので、自宅に住みながら現金化して、その資産を使い倒すことができる仕組みです。便利な世の中になったとも言えます。契約者が亡くなった後も条件を満たしていれば、継続利用が可能となっています。

リバースモーゲージと担保


最低利用可能金額は100万円からで、最大利用額は人によりけりですが、500万円~1億円までとなっています。自宅の担保価値次第では、かなりのお金を借りられます。


メリット2:支払う利息は使った分だけ


リバースモーゲージ「充実人生」はあくまで融資ですから、借りたお金の利息を支払う必要があります。通常の融資はお金を借りた全てに対して利息が掛かります。しかし、リバースモーゲージ「充実人生」は、少額の借り入れを都度行えますので、借りて使ったお金の利息だけ支払えば良いのです。

イメージとしては、毎月少しずつ、支払う利息が増える形になります。カードタイプを利用すれば、ローンカードを利用してATMで簡単に借り入れができます。東京スター銀行のATMや、全国の提携金融機関(ゆうちょ銀行、セブン銀行を含む)が対象です。

リバースモーゲージの利用シーン



リバースモーゲージ「充実人生」のデメリット


デメリット1:支払う利息が雪だるま式に増える


さきほど、借りて使ったお金だけの利息で良いとお話しました。ただ、亡くなって自宅を売却して現金化するまで、利息を払い続けることになります。お金を使えば使うほど、毎月支払う利息が増えていくので、注意しないと利息が支払えなくなる恐れが出てきそうです。

東京スター銀行のリバースモーゲージの金利


金利は変動金利のみですし、年率3%の利率は高いですね。住宅ローンと同じ感覚で利用するようなものではありません。

通常の融資では、毎月、利息と元本を返済しますので、徐々に利息が減ります。しかし、リバースモーゲージの場合は、借りて使うほどに利息が増えるので、その利息がどのくらいの金額なのかを感覚的に理解しにくい事から、恐怖心が出てきます。

小額を借り入れて使う分には良いでしょうが、それが数百万数千万と金額が上がるにしたがって支払う利息はかなり膨大になります。利息を支払えない事態になった場合は、銀行は自宅を奪いに来ます。これについては、次の項もご覧下さい。


デメリット2:一括または、分割で返済するシチュエーションがあり


このデメリットは、将来的に特に注意が必要な点です。年に1回、融資限度額の見直しがなされます。見直し後に担保評価が下がれば、融資上限の金額が下がるために、見直し後の上限以上に借りていた場合では、1年以内に一括または分割で返済が必要です。

これは、日本のバブル崩壊後に多くの人や企業が銀行から不動産を取り上げられた悲劇と全く同じ構図です。つまり、不動産の担保価値が下がらない土地に暮らしている人以外、リバースモーゲージなど怖くて利用できないという判断になります。

リバースモーゲージの強制的な返済について


ご質問者様は都内の広い土地にお住まいなので、日本全国から見ると著しく有利な立場におられるわけで、こういった人が一定程度のセーブをしながらリバースモーゲージを利用する分には、大きな心配はないかもしれません。

ただし、リーマンショックのような事が再び発生して、今度は景気が回復せずに恐慌という事態にでも突入したら、自宅の担保価値が割れる可能性もゼロではありません。

また、その場合は変動金利が著しく上がるでしょうから、融資限度額以内の借り入れであったとしても、利息を返せなくなって行き詰るという事もあり得ます。

可能性としては極めて低いとは思いますが、金融商品を利用する場合はメリットよりもリスクに目を向けておく必要がありますので、こういった観点からも判断を下すと良いでしょう。





ただし、借金がそこまで怖いとも言い切れない


と、どちらかと言うとデメリットを強調したような回答になっておりますが、住宅ローンよりも金利が高いとはいえ、3%です。この数字で、破綻するような状況になるとも思えません。

例えば、都内で120坪の土地というのはかなり広大です。私が以前に住んでいた、23区内としてはかなり低い部類の土地単価の葛飾区でも、坪単価は100万円はします。となると、質問者様は土地代で1億2000万円もの資産をお持ちだという事になります。(建物は価値が減りますので、事実上、銀行から見ると無価値になりますから、計算に入れません。)

そこから仮に5000万円分をリバースモーゲージとして借り入れたとすると、3%の金利での利息は1年間に150万円にしかなりません。この程度の金額ならば、現在の貯蓄額及び年金額からすると、余裕で返済できてしまいます。

もちろん、5000万円を全額いきなり借り入れるのではなく、これを上限にして必要に応じて借り入れていけば良い訳で、私ならばリバースモーゲージを利用する可能性もあるなと感じました。

リバースモーゲージの借り入れについて


従って、現実的には破綻するリスクなどは無視して良いくらいになりますので、土地値が下がりにくい場所に住んでいて、資産価値が大きくて貯金も豊富な人が、資産価値の半分以下と言うようなセーブされた条件でリバースモーゲージを利用する分には、特段の問題は無いと言えます

融資とか借金と聞くと、個人の性格にもよりますが、もう絶対に許し難いとして一銭たりともダメだという人もおられますので、最終的にはご家族がどのように判断するのか、話し合いの結果、決まる筋合いのものだと感じます。

当サイト管理人からすると、今回のケースにおいては、利用しても良いと考えます。



倹約生活をする必要はなく、資産を増やす必要もありません


ところで相談内容に、「現在の悩ましいところは、どの程度お金を使ったら良いか心許ないので、色々と我慢をして倹約生活をしてしまっているのですが、もしかすると、そんなに我慢をせず、残された人生を(特に夫は)楽しんでもいいのでは?」とありますね。この件に関して、我慢は不要です。


手取り収入は457万円


まず、年金収入が500万円あるとのことですので、税金を差し引いた手取り収入、つまり自由に使えるお金の総額を計算すると、年間で457万円になります。

老後の平均的な生活費に関しては、生命保険文化センター調べの老後の生活費はいくらくらい必要と考える?が参考になります。 以下をご覧ください。

・最低必要な日常の年間生活費:264万円(月額22万円)
・ゆとりのある老後の年間生活費:418万円(月額34.9万円)



ゆとりのある老後を送るには、上記の差額の「年間154万円の生活費」があれば良いと考えて良さそうです。以下のように、旅行・レジャーなどが使用目的の上位になっています。

老後のゆとり


年金の手取りが現状で457万円もある訳ですから、十分にゆとりのある生活ができると思います。東京23区在住なので生活費が高いと仮定して、今から更に年間で154万円の生活費が必要になると強引な生活設計をした場合には(年間572万円必要と言う事にします)、貯蓄を取り崩す事になります。


「ゆとりある生活」のために、貯蓄を取り崩しても問題無し


現在の貯蓄額は6500万円で、ゆとりある生活に必要な年間の金額は154万円です。貯蓄を取り崩して何年間持つのか計算してみると、以下のような年数となります。

・6500万円÷154万円 = 42年間


現在の資産額であれば、42年間分の「ゆとりある生活」を送れます。奥様の年齢は52歳ですから、94歳までは問題がないという事です。2017年度の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳 ですので、仮に平均年齢以上まで存命であっても、全く問題は無いという事ですね。



リバースモーゲージでなくて、利息や配当をを貰う事も検討してみる


リバースモーゲージではなくて、リスクがゼロとなる定期預金を利用した場合、年間で1000万円まで預金保護されますので、7銀行に貯蓄を分散すれば銀行の倒産リスクを完全に回避できます。

仮に金利が0.2%で6000万円を定期預金に預け入れた場合、受け取ることができる利息は税引き後に9万5000円になります。・・・ちょっと少ないですね・苦笑。

では、3000万円を定期預金にして、残り3000万円を配当利回り4%となる、日本の証券取引所に上場された株式やETFを買い付けるとするとどうでしょうか。共に税引き後の数値が以下です。

・定期預金の利息:4万7000円
・上場株式の配当金:95万6000円


株を買いますから、投資になります。リバースモーゲージを利用する際に考えたのと同様に、リーマンショックなどのような事が起こると、3000万円の価値は平気で半分以下になるリスクは承知しなくてはなりません。その引き換えに、毎年95万円くらいのお金が振り込まれます。

(株の配当は、銀行が売りつけるボッタクリ商品の「毎月分配型投資信託」とは似ているようで全く異なりますので、銀行員が投資信託を買えと言ったら聞き耳を持ってはいけません。)

と、このように見て行くと、リバースモーゲージも含めて、資産のある人は何をやっても大きな問題には直面しない事が分かります。リバースモーゲージも含めて、複数の選択肢を同時並行で進めるというのも良いのではないかと思います。

追記:CHさまからお返事をいただきました

この度はご丁寧なご回答を誠にありがとうございました。 御礼が大変遅くなり申し訳ありませんでした。 リバースモーゲージは、最後の手段?に取っておくことにしようと思いました。

一人になったら、どこかケア付きの居心地の良い施設?を探して住み替えることを視野に入れて、今からそういう施設?を探してみようかと思いました。

また、配当利回り云々のことをこれから学んで視野に入れようと思いました。しかし、3000万円が半分になるリスクはやはりちょっと怖いです。 大変おせわになりました。今後ともサイトを楽しみにしております。