価格変動リスクが大きいだけのデメリットだらけの外貨預金について

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定型中長期外貨定期預金(愛称:ナイスフライト)の解約の検討


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頂いたご質問(2019年3月、YKさま、50代・女性)

はじめまして。ごく最近、薦められて 三井住友銀行の外貨定期5年をしてまいました。金利が、良い事と満期時に円高であっても預金なのだから円安かななるまでおいておけば問題ないだろうと判断しました。




こちらの記事を拝見したして後悔しましたが。これは、もう仕方ないですよね?もう、今さら改善策は、ないですか?400万円しました。



回答:中途解約できない商品ですが、いちど銀行に相談してみては?

YKさま、今回は諦めるしかないかもしれません。まず最初に、以前同じような外貨預金に資金を投じようとした人からの質問と、それに対する回答ページをじっくりとお読み下さい。

デメリット&ボッタクリの三井住友銀行の外貨預金


これを読んでおけば、外貨預金にメリットなど皆無に等しく、デメリットしか無いようなボッタクリ金融商品である事が分かります。

金融機関の営業担当者(窓口の人も含む)が勧めてくる商品は、ほとんど全て、彼らが一方的に儲かるものばかりです。頻繁に、今回のような外貨預金をはじめとして、高コストタコ足分配投資信託だったり、金融庁も問題視するような外貨建て終身保険とか、もうそんな商品のオンパレードです。

善意で勧めてくるのではありませんから、今後は一切、聞く耳を持たないようにしましょう。また、分からない金融商品なのに契約してしまうというのは、買う側にも相当な責任があります。金融の世界は冷徹な「自己責任」の世界でもありますので、買う前にきちんと勉強しましょう。

今回の件は、勧められて外貨定期預金を契約したとの事ですので、恐らく、三井住友銀行の店頭のみで取扱う定型中長期外貨定期預金(愛称:ナイスフライト)ではないでしょうか。




仮にこの商品だとしたら、すぐ上の図に記されている通り、中途解約はできない商品ですから、もうどうにもならないというのが基本的な認識だと思います。

もちろん、やむを得ない事情が有れば、清算金を支払わせた上で解約には応じるという事ですので、相談してみるのも良いかもしれません。支払わなくてはならない清算金が、妥協できるくらいの金額なのかによるでしょう。



外貨預金は、単なる丁半ばくちのような商品でしかありません


さて、いったいどの通貨を選んだのか、その点が記されていませんでしたので、世界で最もメジャーな通貨である米ドルで説明しましょう。

以下は、1995年からのおよそ15年のドル円相場のチャートです。現在はおおよそ110円近辺に位置しており、最近の契約との事ですから、仮に110円で外貨預金に預け入れたとします。

そして、5年間預け入れた後に、利益になるのかどうかが問題になります。青線よりもドル円相場が上であれば、YKさまは利益が出ます。一方で、下だった場合は損失が出ます。


https://kabutan.jp/stock/chart?code=0950より図を引用)


もしも円安に振れる場合は、どのくらいの利益になるでしょうか。直近では2015年に125円を付けていますので、110円からは1.14倍くらいに値上がりする勘定です。400万円が、455万円くらいになります。

質問者様は預金金利も記していませんので、仮に金利が2%だとしますと、5年間で40万円の金利が付きます。金利をカウントすると、495万円になるでしょう。

一方で、直近での安値は2016年の99円でした。そこまで落ちるとしたら、400万円は360万円になります。利息を入れると、収支トントンの400万になります。

ちなみにその前は2011年に75円くらいまで下がりましたので、そこまで下がるとしたら、400万円は273万円ほどになります。利息を入れても、313万円と大幅に元本割れです。

以上より、ドル円相場が99円よりも円高になった場合は損失を計上する可能性が高いことになります。金利分も含めると、上の図の青い線はおおよそ100円近辺に来る事になり、これ以上なら利益、それ以下なら損失です。過去15年で見ると、どちらかというと利益が出る可能性の方が高いかもしれないな、というのが感覚値となりますね。

為替の変動は皆さんが平気で外貨預金の契約をする割には、と申しますか、想像よりもはるかに大きいのが分かりますね。5年も預け入れていると、円安が来るか円高が来るかは確率2分の1のマネーゲームになりますが、今とは全く異なったレートが付いているものと考えられます。

でも、上の図を見て、何となくですが、紫の矢印のように、超長期的にはじわりじわりとわずかずつ円高方向に動いているように見えてきますね。円という通貨は何もしないと常に円高圧力が加わりますので、やや不利なマネーゲームをしているような感覚であると申し上げておきましょうか。

何故、円が高くなる方向に動くかと言えば、いくら日本円よりも米ドルの方が金利が高くても、それが許されるのだとしたらドルで預金したほうが断然得ですから、日本国民は全員が米ドル預金をしないとおかしいという事になりますよね。

でも、実際にはそんな事にはなりません。なぜなら、金利の高い通過は為替相場が円高になるからです。それによって、円で持とうがドルで持とうが、どちらも結局は同程度のリターンになるような調整が働くのです。「タダ飯」を食べる事は、資本主義の世界では許されないのです。

もちろん、ドル円なども数年スパンで大きく円高に振れたり円安に振れたりしますから、タイミングによっては大きく儲かる事はあります。しかし、長い目で見ると紫の線のように、ジワジワと円高となる事で、その金利分を調整していると見る事が出来ます。

外貨預金などは、銀行が売っていて「預金」と名が付きますから、つい定期預金のようなものだと勘違いする人が多数です。しかし、株式投資並みに価格変動が極めて大きく、投資のようなものだと思っておかねばならないでしょう。

そして投資のようなものでありながら、長期的には価格の調整を受けますので、結局は日本円の定期預金のようなリターンに落ち着いてきます。多大なリスクを負いながら極めて低いリターンが想定されますから、ハイリスクローリターンの分が悪い商品です。

(もっと専門的に言うと、為替というのは投資と違って期待リターンはゼロなので、本当はハイリスクノーリターンの金融商品なのです。)




だったら最初から円定期預金にしておくのが合理的な判断になります。猛烈にコストがかかる分、外貨預金に期待される利益は、円定期よりも低いかもしれません。

価格変動リスクが投資並みに大きいのですから、仮に様々な不利な商品だと知った上で敢えて外貨預金をやるとしたら、景気が悪くなったり、あるいは株価が暴落して金融ショックが走ったりする猛烈な円高局面で外貨預金を開始する事こそが、間違いの少ない行動となります。

投資は常に、皆が青ざめて泡食って市場から撤収するタイミングに、恐怖に打ち勝って買い付けをした人だけが大きな利益を手にします。今のように、株価が天井圏にあって、誰でも儲かりそうな雰囲気が漂う時に買う事は、その真逆の行為だと言えます。