銀行からすすめられた外貨建て終身保険サニーガーデンexの解約

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リスクのある外貨建て終身保険を解約するとどれくらい戻ってくるのでしょうか?


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頂いたご質問(2019年1月、NSKさま、50代・男性)

管理人様こんにちは、はじめまして。 実は、昨年4月に預貯金500万の中からすぐに使うつもりのない300万で、銀行からすすめられた外貨建て終身保険サニーガーデンex(一括払い。定期支払コース年2回。米ドル立て)を契約しました。

外貨建て終身保険の為替リスク


「元金は保証されるが、10年以内に解約すると元本割れする」と言われました。つい最近、週刊誌や当サイトで「為替の変動によっては10年後でも元本を下回ることがあるとわかり、とても不安で10年待つ気持ちになれないので解約したいと思います。

4月に第1回の定期支払の予定ですが、元本割れ覚悟ですぐに解約したほうがいいでしょうか。また、どれくらい戻るでしょうか。



回答:不安を取り除く商品で不安になるなど、本末転倒です

NSK様、当サイトへのご質問ありがとうございます。銀行から勧められて外貨建て終身保険を契約する人が後を絶ちませんね。本当に困ったものです。

さて、NSK様が契約されたサニーガーデンEXについては、過去に詳細を評価した記事がありますので、こちらをまずは参考にしてみてください。 ⇒参考サニーガーデンEX の評価

今回は、NSK様が不安を感じている「為替の変動によっては10年後でも元本を下回ることがあるとわかり、とても不安で10年待つ気持ちになれないので解約したい」点を中心にお答えします。

まず、結論です。本来、保険という商品は不安を取り除くために存在します。今回のように、保険に加入した事で逆に不安が高まるなど本末転倒も甚だしく、その観点からも契約は間違いでした。損(元本割れ)を出してでも解約した方がご自身に合っていると思います。

現在の為替レート(109.5円)で解約したと仮定すれば、約279万円が戻ってきます。ざっくり、トータルで7%程度の損失となりますが、勉強代と思えば安いものです。これで、二度と銀行が勧めてくるようなボッタクリ商品の餌食にならないのですから(銀行の進める商品はほぼ全てダメ)。



為替の先行きは、プロでも予測できません


ところで、外貨建て商品の最大の問題は、為替リスクです。リスクを回避したいから保険に入ろうとするのに、逆にリスクを背負い込んでしまうのですから話しになりません。為替のリスクは、およそ株価の変動リスクと同じ程度あると考えて頂いて間違いはありません。

また、ご存知ない思いますが、為替の長期の方向性を予測することは、プロでもほとんど無理です。時折まぐれで当てる人がいるくらいです。将来の見通しは神様以外、誰にも分かりません。素人が為替に手を出すのは、博打をやるようなものだとも言えます。

現状、どのような為替の状況で契約したのか、少し確認してみましょう。以下は、米ドル/円の過去1年間の為替チャートになります。昨年の2018年4月に契約したとのことですので、おそらく106円くらいでしょうか。

今年の年始に106円を瞬間風速的に下回ったのですが、いまは少し戻して、110円近くになっています。今のところ為替で損をしておらず、少しばかりの含み益になっていそうです。

ドル円の1年チャート


ところが、過去10年間の長期での為替レートでは、景色が変わって見えます。契約した時期を青印のポイントで表現しています。なんと、2012年頃に80円の時期ががありました。

・・・と言いますか、10年間では106円以下の時期の方が長かった訳で(赤枠の部分)、将来的に、この水準に戻る可能性も大いにあるのです。損失を被る可能性は十分に有ると言えます。(特に100円を割ってくると、かなりの為替損失となるでしょう。)

ドル円の10年チャート


ここ数年は世界的に景気が良く、と言う事は円安に振れて「天井」に近い状態の時期に保険契約を交わしてしまった可能性もあり、世界の景気が後退した場合はかなりの確率で為替差損が発生すると考えておく事も必要でしょう。

ただし、誰に聞いても為替の明確な方向性は答えられないですし、逆に常識的な予想を外して、景気が後退しても何らかの理由で円安になって為替差益が発生しないとも限りません。

為替の予想は株価のように期待リターンがプラスになるものと違って、そもそも為替相場はゼロサムゲームですから、為替の長期の予想など無理ゲーなのです。

もしも為替予想を断言する人がいれば、その人は詐欺師の可能性が高いです。全て自己責任の世界ですから、自分で判断できない場合は為替リスクのある商品に手を出さない方が良いでしょう。





今、解約すれば現地通貨で10%の損失になる見込み


元本割れ覚悟で解約した場合、超ざっくりした計算では、現地通貨建てで10%の損失になる見込みです。少し解説を加えますと、解約した場合には解約払戻金を受け取れますが、以下の赤枠のように、複雑な計算となります。詳細は、代理店経由で計算して頂いた方が良いと思います。今回は、算出の難しい「①市場価格調整率」を省略して、以下の簡易計算式で算出してみます。

外貨建て終身保険サニーガーデンexの解約返戻金


これらの計算に必要な「②解約控除率」は、以下の表より、1年未満の解約(2018年4月契約、2019年1月 or 2月解約)となりますので、10%になるはずです。

外貨建て終身保険サニーガーデンexの解約控除率


解約払戻金額=解約日の積立金額×(1-②解約控除率)=28,301米ドル×(1-0.1)=25,471米ドル

・解約日の積立金額:28,301米ドル(300万円で106米ドル/円で契約)
・②解約控除率:10%

以上より、現地通貨で25,471米ドルが戻ってくる見込み(概算)です。なお、現在の為替レートは109.5円ですので、日本円に換算しますと約279万円です。ざっくり、日本円で21万円の損失となります。為替で少しお金が増えたので、トータルの損失は7%程度ですね。

為替 日本円 現地通貨
契約時点 106円 300万円 28,301米ドル
解約時点 109.5円 約279万円 25,471米ドル
損益 - ▲7% ▲10%



外貨建て金融商品でなく、余剰資金は高金利の定期預金で


まとめますと、今現在の為替は契約時点よりも少し円安方向に振れていますので、300万円の契約金が279万円で戻ってくる見込みとなります。トータル損失は、7%程度で抑えられますので、この程度であれば、すこし高い勉強代を払ったと思って損切りした方が良いと思います。

よく、「金利の低い定期預金よりも大きく資産が増える」などと銘打った商品を銀行や証券会社が勧めてきますが、保険も含めて、全てそれは投資となります。保険であっても、先ほどご覧いただいたように為替変動リスクを100%受けますし、保険会社は内部で株や債券で運用をしますから、間接的に投資をやっている事になります。

保険だろうが資産運用系の金融商品だろうが、それ相応のリスクを取る事になりますので、資産を増やしたいと思った時点で、投資の勉強をしないと金融機関のカモになるだけです。

そこまでリスクを取る必要がない、あるいは勉強をしたくない、もしくはリスク許容度が低いという事であれば、金利の高い定期預金を都度都度乗り換えて預金していく事をおススメします。

当サイトはそんな時のために存在します。当サイトを色々とご覧いただいて、一切のリスクを排除した形で、定期預金というカテゴリーの中にも大きな差が有ると分かって頂けると思いますので、どうぞご活用ください。