メットライフのビーウィズユープラス一時払い終身保険(保障&運用コース)に70歳台や80歳台で加入する事についての見解

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メットライフのビーウィズユープラス一時払い終身保険(保障&運用コース)加入の是非


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頂いたご質問(2019年5月、Aさま、80代・男性)

御社”定期預金の鬼”「メットライフのビーウィズユープラス一時払い終身保険」の解説読ませていただきました。その説明文中に、”保障&運用コース”についての説明は質問コーナーへとの一文がありましたのでお尋ねします。現在そのプランで、勧誘を受けております。

当年80.3歳男性です。250万円の現金を生命保険替わりにして葬式代に家族に残したいと思っています。持病は有りませんが、余命長く見積もっても10年余でしょう。定期預金より良いならこの勧誘に乗ろうかと思っていますので専門家のご助言お願いします。よろしくアドバイスをお待ちします。



回答:確実に葬式代を残したいのに、損する可能性もある保険を買うのは矛盾している

A様、定期預金の鬼へのご相談ありがとうございます。残された家族のために、お葬式代を残したい気持ちは良くわかります。以下の条件で、定期預金と比べてお得なのか考えてみたいと思います。

・保険名称:メットライフのビーウィズユープラス一時払い終身保険(保障&運用コース)
・加入年齢:80歳
・金額:250万円
・目的:生命保険替わりにして、葬式代を家族に残したい
・期間:10年間(余命長く見積もっても10年余)



選択する通貨に関しては、先進国とは言ってもローカルな通貨である豪ドルではなく、ここでは世界の基軸通貨である米ドルで話しを進めたいと思います。

メットライフのビーウィズユープラス


結論を書きますと、10年後に死亡・障害保険金で受け取るならば、定期預金よりお得になる可能性がありますが、その前に万が一のことがあれば損失を出す可能性があります。

運用でお金を増やす仕組みが日本円ではなくて外貨建ての運用ですので、将来の予測が極めて難しい状況です。ビーウィズユープラス一時払い終身保険(保障&運用コース)を利用するという事は、ご自身が「葬式代」とまでおっしゃり、それこそ命の次に大事だと思っているお金を、為替リスクに相当程度、晒す事になります。

今まで投資をした経験がおありなのか分かりませんが、全く無いという事であれば「止めておいた方が良い」と申し上げたい気持ちが大きいです。投資経験者で、為替リスクなどは知っているという事であれば、損失を出す可能性も低くないものの、契約してしまっても「悪い」とまでは言えません。

契約する場合は、一定のお金が仮に順調に増えた場合に、そのお金を自動的に円に転換して、円建てで終身保険としてくれる「円建終身保険移行特約」を付けると良いでしょう。(それでも、目標金額まで増えなかった場合には、投じた資金は為替リスクに常に晒され続けます。)

個人的には、支出がハッキリと決まっている資金用途に対して、それを投資に回すというのはファイナンシャルリテラシー的にはご法度に近いと思います。投資ではなくて保険だといわれそうですが、増える部分は完全に投資の力を借りている訳ですから、これは投資です。

80歳の老人の外貨建て終身保険の加入


しかも、保険に契約するにはあと50万円ほどの資金を追加しなければならず、保険と言えども為替リスクのあるようなものに、余計に資金を突っ込むのはいかがなものかと思います。

リスクのあるところにお金を入れるのは、余命が長い人のやることであって、長くて10年と仰っている人がやることでは全くありません。損失を出したらそれこそ時間切れオワリであり、お金の常識とは正反対の事をやろうとしている訳です。

仮に損失を出したとしたら、亡くなった後に、逆に家族には大いに迷惑をかける訳であり、このような投資的な側面が大きな生命保険などは、使うべきではありません。



メットライフのビーウィズユープラス一時払い終身保険(保障&運用コース)とは


メットライフのビーウィズユープラス一時払い終身保険(保障&運用コース)は、保障重視コース同様に、契約者の死亡または高度の障害状態になった際に保険金が支払われる終身保険です。

外貨建てで運用(運用通貨はUSドル・豪ドルの2つ)され、保険金の一部を積極的に運用で増やそうというものです。この運用部分が、保障重視コースとは異なる部分です。保障&運用コースの最大の特徴は以下の2つになります。

特徴1:万が一の場合、最初に払い込んだお金が外貨で保証されています。
特徴2:運用により、万が一の場合に受け取れるお金が増える可能性があります。


保障重視コースと異なり、契約時に払込んだ一時払保険料しか最低保証されません。しかも、外貨建てで保証されますので、為替次第では損する可能性があります。保障重視コースに比べて、よりリスクが高い商品設計になっています。



ビー ウィズ ユー プラス(保障&運用コース)のメリット


契約初期から、外貨建てで一時払保険料100%相当の死亡・障害保険金が保証される


保障&運用コースのメリットは、契約の初期段階から、払い込んだお金100%相当の保障(死亡・障害保険金)を受け取る事ができる点にあります。

ビー ウィズ ユー プラス(保障&運用コース)の定額部分の保障


ただし、保障されるのは日本円でなく運用通貨のUSドルまたは、豪ドルとなります。変額部分と呼ばれる運用益がどの程度の上乗せになるのかは、円で受け取る時点の為替相場により、最終的な受け取り額が決まります。



自動的に円転換してくれる特約を契約時に付ける事が出来る


保障&運用コースでは、契約時に「円建終身保険移行特約」を付ければ、円建て目標額の設定が行えます(10%刻み)。契約1年後から毎月自動的に判定され、目標額に到達したら自動的に円で確保されて、円建終身保険に移行されます。

ビー ウィズ ユー プラス(保障&運用コース)の円建終身保険移行特約


個人的には、どうしてもこの保険に入りたい場合は、この特約を付加したほうが良いのではないかと思います。これらがどの程度のものなのかは、保険会社のシミュレーションで確認できます。5年及び10年以内の、円換算目標金額に到達する確率や、平均的な目標到達年数が参考になります。



シミュレーションの条件






シミュレーションの結果





残念ながら80歳加入の条件がありませんでしたが、40歳~70歳までは10年以内に日本円換算で一時払保険料110%相当が残せそうです。

契約年齢が上がるにつれて達成するのが難しくなっていますが、契約年齢80歳だとしても、ぎりぎり10年程度で日本円換算で一時払保険料110%相当が残せそうな状況ではあります。

ただ、これらは過去の運用データをベースに算出されているものですので、確実に大丈夫とは言い切れないことは頭に入れておいてください。これについては、次の項でも記します。





ビー ウィズ ユー プラス(保障&運用コース)のデメリット


一時払保険料が高額すぎる


ビーウィズユープラスの保障&運用コースの最低保険金額(一時払い金)は、3万USドルまたは3万豪ドルからになります。仮に、円入金特約で契約する場合は300万円以上の資金が必要です。

現地通貨振込であれば、現時点でUSドル建ては約333万円相当(1ドル=111円)、豪ドル建ては約234万円(1豪ドル=78円)が必要です。本来的には、余裕資金で気軽に保険料の支払いが出来る、富裕層向けの金融商品です。生活がカツカツな人が買うものではありません。



為替リスクで損する可能性がある


外貨建て保険の全てに言えることですが、為替のリスクが極めて大きなデメリットの一つになります。円安であれば為替差益でお金が増える為にメリットと言えますが、万が一にでも円高になってしまった場合は為替差損により損失が発生します。

為替リスクについて


以下は、ドル円の長期チャートです。過去17年ほどの価格の推移になります。2015年に125円を超えたのが円安の最高値であり、逆に2011年には75円の安値を付けています。(実際の表現は、75円が円高であり、125円が円安と言います。)

そして現在が111円台です。為替は10年単位で大きく変動してゆくものであり、今後10年で円安になって為替利益が出るのか、あるいは円高になって為替損失が増えるのか、この相場をどう読むかと言うのがポイントになります。

外貨建て終身保険に入る際に確認すべきドル円相場


基本的には、今後世界景気が悪くなると予想する場合は、安全資産の円が買われる事になりますから、チャートは下に動いて円高になります。外貨建て生命保険は軒並み元本割れするでしょう。逆に10年後が円安だと想像するなら、大きく利益を出す事になります。

しかし、為替の先行きはプロでも見通しが効かない、最高難易度の相場です。為替の影響が将来的にどうなるのか不透明ですから、確実にお金を残したいのであれば、為替のリスクは取るべきではありません。



運用の失敗による損失の可能


保障&運用コースでは、一時払い保険料の一部を運用に利用しています。先進国株式と債券のリスクが同等になるよう資産配分が決定される仕組み(リスク・パリティ戦略)ですから、比較的に安全な運用になっていそうです。

メットライフ生命のビーウィズユープラス一時払い終身保険(保障&運用コース)の特別勘定での運用


運用益を高めるために先物でレバレッジをかけていますので、株式市場が急激に落ち込んだ場合には運用益も大幅にマイナスになるのかなと思ったのですが、レバレッジの効いたリスク・パリティ戦略は右肩上がりで資産が増えるシミュレーション結果となっています。

ビーウィズユープラス一時払い終身保険(保障&運用コース)の特別勘定での運用結果


ただし、当サイト管理人は、このようなシミュレーションについては、極めて懐疑的な目で見ています。上記のような戦略でお金が大きく増えるならば、世界中が同じ戦略を取る筈です。

また、このようなシミュレーションは、起点をどこに置くかで見た目が全く変わってきます。資産運用に絶対はありませんし、過去の運用結果が将来を保証する訳ではないので、リスクは低くないと思うべきでしょう。

更に、この部分(特別勘定と言います)は、まさに投資そのものであり、毎月、あるいは年に1回発行される月報や運用報告書を読み込んで、中身を理解できる人だけが手を出して良い世界です。

以下、メットライフ生命のビーウィズユープラスの特別勘定のレポートページのリンクです。レポートを読んでも「よう分からん」と言う事ならば、投資をしてはいけません。
https://www.metlife.co.jp/lf1/ahp730/va/va_search_pop.do?
vaSearchButton=VA_SEARCH_PERIOD&menu=1




死亡・障害保険金の受取でなくて、中途解約する場合は元本割れの可能性


中途解約をした場合は、保障重視コースと同様な計算式で解約返戻金額を受け取ることになります。本ページでは詳細を割愛させていただきますが、中途解約した場合の元本割れする可能性を考慮しておくべきです。



今後の10年間が順調に推移するのならば、メットライフの保障&運用コースが有利だが


さて、結局のところ、定期預金とビーウィズユープラス(保障&運用コース)のどちらが得なのでしょうか。純粋な損益にのみ注目して、結果を導いてみたいと思います。

まず、現在、高金利な定期預金の筆頭としては、オリックス銀行の5年物の定期預金(金利0.3%)が挙げられます。仮に、オリックス銀行で10年間継続して250万円を預けた場合の利息は約6万円であり、10年間で102%増えたことになります。

それに対して、ビーウィズユープラス(保障&運用コース)は、10年間で110%になるかもしれない試算が出ています。以下は契約年齢70歳ですので、80歳になれば、もう少し利率が下がるかもしれませんが、それでも定期預金よりは優れていそうな傾向にあります。




ただし、ビーウィズユープラスの契約には300万円が必要になります。また、上記はあくまでも、「過去の例に倣うと可能性としては高いでしょうね」というものであって、Aさんが契約してから遠くないうちに、例えば株価の大暴落とか何らかの金融ショックが走った場合には、もちろん絵に描いた餅にしか過ぎない事になります。

円転換するための110%の目標に到達しないうちに大暴落にでも巻き込まれた場合は、当然ながら円転換できずに10年の運用をしなくてはなりませんから、そこで為替が円高に振れてしまった場合は、例えば今の相場から20%の円高となり、ドル円相場が89円になった場合は、単純計算で300万円が240万円になってしまう事になります。

この場合、若い人ならば更に10年の年月を経て、為替が戻ったり世界景気が回復したりするのを待つことができます。しかし、長くて10年かなと考えている人にとっては、まさに人生の最後の最後で大いに後悔して、家族にまで金銭的な迷惑をかける可能性がある訳ですから、このような投資に頼ることはしてはならないと考えます。

投資において、「お金が足りないからそれを投資で増やしてやろう」と考える事は、ほとんど全てにおいて裏目に出ます。世の中、そんなに簡単ではない事は、既に80歳となった現在は、冷静になれば何となく分かるはずです。

もしもどうしても投資でお金を増やしたいという希望が強い場合は、投資の未経験者であれば、手を出そうとする分野の投資の本を最低30冊は読破して頂いて、30万円とか50万円程度のお金を実際に投資に回してみて、やはり数年程度の経験を積んでから、判断をすべきだと思います。

それが出来ないのであれば、投資をする資格は無いと考えてください。(投資部分が商品に含まれている生命保険であってもです。)

そもそも、250万円とか300万円があれば、ごく普通にお葬式は出せるはずです。よほど高額で余計なものが付加されたようなお葬式でなければ、何も問題無いような気がします。お香典なども入って来るのですから、特に何も不足する事は無いように思うのですが・・・。



オリックス銀行よりも金利の高い定期預金も探してください


今回は、お住いの場所が分かりませんでしたので、具体的に記す事は出来ませんでしたが、オリックス銀行よりも高金利な定期預金はそれなりに探せばあるはずです。

都道府県ごとの金融機関の定期預金金利のページから、お住まいの地域の銀行などをチェックしてみて下さい。同じ銀行でも、年金受取者向けの高金利の定期預金があるかもしれませんので、細かくご覧頂くと良いでしょう。