ガーデンザギフト目標設定付き定期支払コースの評価・解説

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メットライフ生命のガーデンザギフト・目標設定付き定期支払コースの概要と解説

終身保険の機能を持ちつつ、定期的にお金を受け取れる保険商品を、メットライフ生命が販売しています。名称は、外貨建終身保険のガーデンザギフトです。このような、「定期的な収入」でお得感を出す類の外貨建保険が増えており、困ったものです。

今回は、終身保険だけでなく、毎年、定期支払金を受け取れて、さらに目標とする金額に到達すれば自動的に円の終身保険に切り替わる、「目標設定付き定期支払コース」について詳細をチェックしてみます。

一時払い終身保険「ガーデンザギフト」


メットライフ生命の「ガーデンザギフト・目標設定付き定期支払コース」は、米ドルまたは豪ドルで運用される外貨建ての終身保険です。保険契約の1年後から、毎年、定期支払金を円または外貨で受け取れる点が特徴です。

保険の契約日時点での積立利率で、当初10年間の定期支払額が決まる仕組みです。定期的に確実にもらえますが、円ではなく外貨となる点に注意が必要です。


ガーデンザギフト目標設定付き定期支払コース


また、保険契約の3年後から運用目標額に到達した時点で、自動的に円で確保され円建の終身保険に移行されます。保険契約時(運用開始時)に、円建での目標額(110%、120%、130%)を設定する仕組みです。

なお、円建終身保険に移行した場合は、定額支払いが停止となります。運用目標額に到達しない場合は、10年間は定額支払いが続くことになります。目標に達したら嬉しいし、達しなくても定期的に分配金のようなお金を受け取れると言う仕組みは、お金に疎い人ほど魅力的に見えてしまいそうです。



ガーデンザギフト・目標設定付き定期支払コースのメリット

最初に、ガーデンザギフト・目標設定付き定期支払コースのメリットについて詳細を解説します。


分割で定期支払金を受け取れる


定期支払金は、年2回、年4回、年6回、年12回の分割で受け取れます。毎月のお小遣い感覚で受け取るも良し、ボーナスのイメージで年2回で受け取るのでも良いでしょう。毎月分配型投資信託のようなボッタクリ商品に引っかかるような人は、この部分を魅力と感じる事でしょう。



保険契約日から、当初10年間の定期支払金が外貨建てで保証される


これをメリットと言って良いか、少し悩みます。なぜなら、日本円ではなく外貨で10年間の保証となるからです。とはいえ、外貨預金のようなイメージで、受け取る定期支払金が事前に分かりますから、将来の予測はしやすいでしょう。

ところで、積立金(一時払保険料)に付利する利率のことを積立利率といいます。この積立利率は、所定の期間の米ドル、豪ドルの指標金利(金融市場で扱われる主要な金利)の平均値に1.0%を増減させた範囲内でメットライフ生命が定めた利率から、保険関係費用(最大1.54%)を差し引いた利率になります。

市場の金利から保険関係費用が差し引かれるので、それだけ運用パフォーマンが低下してしまいます。10年毎にこの運用積立利率が更新されますので、そのタイミングで次の10年間の定期支払金が決定する仕組みです。

なお、定期支払額は、契約時点の積立利率で以下のような式で決定されます。 例えば、現在の米ドルの積立利率は2%に設定されていますので、定期支払率は1.5%になります。

米ドルコースの最低基本保険金額(積立金、一時払保険料)は、3万米ドルですので、定期支払額は年間で450ドル(3万米ドル×1.5%)になります。

ガーデンザギフトの目標設定付き定期支払コース



運用目標額に到達した時点で、自動的に円建終身保険に移行される


外貨建てでの解約返戻金を円に換算した金額が設定された運用目標額に到達した時点で、自動的に円建ての終身保険になります。将来的な為替リスクを完全に回避できる仕組みです。運用目標額は、目標額の割合を選択して、以下の計算式で決定します。




また、解約払戻金の円換算額は以下の計算式となります。



ガーデンザギフト・目標設定付き定期支払コースのデメリット

メリットだけなくて、目標設定付き定期支払コースのデメリットも理解しておくべきです。


為替の影響で死亡保険金が、想定より少ない金額になる可能性がある


ガーデンザギフトの死亡保険金は、外貨建ての基本保険金額(外貨建ての一時払保険料)が最低保証される仕組みので、受け取るときの為替レート次第では、想定を下回る円の保険金になるリスクがあります。「確実に日本円で保証された保険金」を受け取りたい人には不向きです。



円建終身保険に移行した場合、定期支払金の支払いが停止する


定期支払金の支払期間には、制限があります。運用目標額に到達して円建ての終身保険に移行した時点までとなっています。保険契約中、ずっと定期支払金を受け取りたい人は、注意してください。



為替の影響で、円での定期支払金が想定より少なくなるリスクがある


定期支払金の10年間の一定保証は、外貨建てでです。つまり、為替の影響により、円で受け取った時点で想定よりも少なくなる場合があります。ガーデンザギフトは、外貨建終身保険ですから、為替のリスクは様々なところで影響を及ぼします。



積立金に付利される積立利率の最低保証は、たったの年率0.01%


既に積立利率については説明をしております。積立利率は市場の金利に左右されますので、現在のような年2%前後をずっと維持する訳ではありません。市場の金利が下がれば、積立利率も年率0.01%まで低下します。ほとんど運用で積立金が増えませんね。

なお、積立利率0.01%の時の定期支払率は0.01%になりますので、3万米ドルの契約時に年間で受け取れる定期支払金は、たったの3ドルです。(300万円強の契約でたったの300円ほど)



運用コストが割高で、運用パフォーマンスの下落圧力に


運用利率と同義の積立利率は、保険関係費用の最大1.54%が差し引かれているので、毎年、相当なコストを支払っていることになります。本来は、毎年、複利で最大+1.54%の運用益を得られたはずな のに、高コストな保険関係費用の影響で、将来的に受け取れる利益が減少する訳です。

なお、2019年7月時点でのUSドル建の年利積立利率は2%です。ただし、資産を取り崩しながら定期支払金を支払うために、10年後の実質的な利回りは1.88%と減少します。定期支払金を受け取るということは、将来の儲けを犠牲にしているのです。

ガーデンザギフト目標設定付き定期支払コースの10年後の実質的な利回り
※実質的な利回りは積立利率より小さい率となります。


途中で契約を解除した場合、支払ったお金を満額で受け取れない


これは、ほとんどの保険商品で共通の仕組みですので、既知のリスクの一つだと言えます。保険の契約を途中で解約した場合、契約から10年未満であれば所定の解約控除率が掛けられるので、受け取れる金額が少なくなります。さらに、外貨基準で計算されるため、為替の影響で更に受け取るお金が減る可能性があります。

あなたにとって、この保険は本当に必要なものなのか?

普通の終身保険と米国10年国債を保有したほうが良い


ここまで、ガーデンザギフト・目標設定付き定期支払コースの詳細を見てきました。メリット、デメリットを明確にしてみた管理人の感想としては、コストが割高で運用パフォーマンスが低下するデメリットを回避したいと思いました。

保険の機能は普通に円建ての終身保険を活用すれば良く、どうしてもそこに外貨での投資が必要な人は、ご自身で、自分に合った投資をすれば良いだけです。今回は、保険が米国債を利用していますので、ここでも米国の10年物の国債に投資をする事で考えてみます。

例えば、2019年6月30日時点で、SBI証券で買い付け可能な約10年物の米国国債をご覧ください。トレジャリーボンドとは、米国国債のうち、償還期間が10年超の長期国債のことです。

米国の国債


ご覧の通り、米ドルベースの年率の利回りは、2.875%になります。以下のようにガーデンザギフトよりも、米国国債10年物を直接購入した方が利回りは高いです。(これらの利回りは、前の項でご紹介しています。)

・ガーデンザギフトの実質的な利回り(年複利) : 1.88%
・米国国債10年物:2.875%



上記のガーデンザギフトの条件では、定期支払率は1.5%になります。ガーデンザギフトでは、毎年貰えるお金は、一時払保険料×定期支払率となります。対して、米国国債は、単利で2.875%の利息が毎年受け取れます。仮に、3万米ドルの一時払保険料(または、米国国債の購入)だった場合、受け取れるお金を比較した表が以下となります。

・ガーデンザギフトで毎年受け取れる利子:450ドル
・米国国債10年物で毎年受け取れる利子:863ドル



上記のように、米国国債が2倍も多くの定期収入が手に入ります。ガーデンザギフトは保険会社に余計(で高額)なコストを支払うので、どうしても受け取れるお金は少なくなります。この不要な経費を削除すれば、より多くの運用益が手に入ります。



保険は何の目的で存在しているのかの原理原則を思い出せば失敗などしない


理解して頂きたいのは、保険という商品で、保険以外のオプション、特に資産運用の効果を期待してしまうと、相当に割高なコストを支払うことになるということです。

保険とは本来、生活上のリスクをヘッジする目的にあります。そこに投資の機能を持たせることにより、ただでさえ複雑な商品が、まさしく「複雑怪奇」となって、あなたを悩ますのです。

メットライフ生命のガーデンザギフト・目標設定付き定期支払コースの契約


しかも今回は、外貨建てですから小さくない為替リスクの事を考えねばならず、更に判断が付きにくい事になります。ここまでごちゃごちゃな商品設計になると、受け手は判断したい気持ちから逃げようとしますので、ある意味、生命保険会社の思う壺となります。

複雑すぎて中身を理解できない人から、様々な部分で多大なコストを一生涯むしり取っていく、・・・・それがこの手の商品だという事を覚えておきましょう。「一生涯の保障」とか、あなたから金を合法的に奪った保険会社が、あなたから保障を受けているようなものですね。

賢い人は、保険は保険と割り切ります。今回の場合だと、単に円建てでシンプルな死亡保険金の出る保険に1本入るだけで良いでしょう。また、独身の人ならば、死亡保険金が出たところで何の意味もありませんから、死亡保障のある生命保険すら不要です。共済などの医療保険だけで十分。

そして、今まで保険会社に支払っていた多大な月額金額(あるいは一時払いの多額のお金)を、やはり自分で考えたシンプルな投資に回していって、「搾取」されるコストを最小限に抑えて、その分、自分のリターンを高めてやれば良いのです

今ならば、国が投資に対して大きく優遇する措置を取っています。保険と切り離した投資部分は、確定拠出年金(企業型確定拠出年金や個人型のiDeCo/イデコ)、あるいはつみたてNISAを利用すれば、節税までセットになって付いてきます。

(ちなみに、保険も「生命保険料控除」が効いて節税になりますが、金額は4万円と僅かです。対して確定拠出年金は「社会保険料控除」が、少ない人でも27万円以上も効いてきます。この部分でも、比較にならないくらい国の制度の方が有利なのです。

ついでに申し上げると、今回のような保険を節税に使って良いのは、会社の経営者くらいです。掛け金の半分程度を経費計上して大きく節税できる可能性があります。もしも「保険で節税効果」などと説明されたら、阿保らしくて聞く耳を持てないレベルの小さな節税効果と言う事になります。)

そんな有利な制度があるにもかかわらず、何となく保険に目が行って心まで奪われてしまうというのは、かなりの情弱であるか、あるいは合理的に物事を考えられないかのどちらかである可能性が強いです。

世の中には、「投資は絶対に嫌だ!」と、物凄いアレルギー反応を見せる人がいます。今回のような保険を利用したところで、実態的には投資をしているのと同様なのですが、保険と言うだけでむやみに安心してしまいます。

こういったタイプの人であれば、銀行預金よりも増える可能性が高い、今回のようなメットライフ生命のガーデンザギフト・目標設定付き定期支払コースの「世話」になっても良いかもしれません。というか、それしか残された道はありません。

ただしそれは、生命保険会社会社が美味しい思いをした「残りカス」のようなリターンが支払われるものであります。それを承知のうえで、メットライフ生命のガーデンザギフト・目標設定付き定期支払コースにお金を投じるのも、ダメと言うような筋合いのものではありません。

参考外貨建て終身保険は止めてidecoとつみたてNISAで資産を増やすべし


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