三井住友海上プライマリー生命のブロードウェイワールドⅢの「年金原資充実コース」の評価・解説

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ブロードウェイワールドⅢの「年金原資充実コース」の概要と解説

三井住友海上プライマリー生命のブロードウェイワールドⅢの「年金原資充実コース」は、米ドルまたは豪ドルで運用される外貨建ての生命保険(通貨選択型個人年金保険)です。

契約金となる一時払保険料は1万通貨からとなりますので、米ドルの場合は、約100万円(為替が1ドル100円の場合)の資金が必要となります。

契約日時点での積立利率(運用利率のようなもの)で現地通貨建ての資金を運用し、将来的な年金の原資を大きくする仕組みが特徴です。据置期間が5年と10年から選択可能で、期間満了後の年金原資の増加量が異なってきます。据置期間10年の方が年金原資が増える仕組みです。

三井住友海上プライマリー生命のブロードウェイワールドⅢの「年金原資充実コース」


ただ、死亡保険金は現地通貨建てで、一時払保険料(基本保険金額)と同額が保証されています。支払った保険料以上の保障があるわけではありません。

他のこの手の複雑な保険と全く同じで、生命保険と資産運用をゴッチャにしているから、判断が付かないのでしょう。死亡保険金が欲しければ普通の生命保険に入れば良く、お金を増やしたければ投資をするか、元本保証でなければいやだという人は貯金をすれば良いだけです。

また、5年または10年の据置期間満了時に、年金原資を年金で受け取るか、運用を継続するかの選択ができる仕組みも特徴の一つとなります。年金受取とする場合は、年金支払期間を5年、10年、15年、20年の確定年金から選択します。無論、一括での年金原資の受け取りもできます。

なお、年金の受け取り中に被保険者が死亡した場合は、残りの年金原資を死亡一時金として受け取れます。被保険者が生存している間は、年金総額保証付終身年金として、毎年定額の年金を一生涯受け取る仕組みも用意されています。被保険者が死亡した場合でも、受取累計額が年金原資の額に到達するまでは、年金を受け取れます。

三井住友海上プライマリー生命のブロードウェイワールドⅢの「年金原資充実コース」の受け取りプラン


年金として受け取らず、年金原資を増やすために継続運用をするプランも用意されています。

三井住友海上プライマリー生命のブロードウェイワールドⅢの「年金原資充実コース」の継続プラン


ブロードウェイワールドⅢの年金原資充実コースへお金を出すという事は、長期間資金の固定される外貨定期預金や、外貨建ての国債に投資したようなイメージになります。

ただし、あくまでもイメージであって、定期預金や国債のように、誰でも理解できるようなシンプルなものではありません。敢えて、誰にも理解できないように作ってあるとしか思えないです。情弱に余計な判断をさせないようにするために、複雑怪奇としているのかもしれません。



ブロードウェイワールドⅢの年金原資充実コースのデメリット

では、ブロードウェイワールドⅢの年金原資充実コースにデメリットが無いのか、確認してみます。 まず、外貨建ての個人年金保険ですので、為替のリスクがあります。米ドルベースでのみ、死亡保険金が保証されているので、将来受け取れる日本円での保険金が変動するリスクがあります。

次に、契約時点での初期費用が猛烈に高いです。据置期間5年の契約であれば、一時払保険料の3%、据置期間10年の場合ではなんと一時払保険料の5%の支払いが必要です。

一見すると「初期費用を支払った感」が無いのですが、一時払保険料から初期費用を差し引いた積立金が運用されるので、コスト分を差し引かれた残りを運用に回されるという事であり、将来の年金原資の増え方にマイナスの影響を与えます。周りを見渡すと、初期費用の極めて小さな運用商品があるので(投資や貯金で)、保険で運用するデメリットが、ここに集約されます。

また、契約初期に解約した場合では、受け取る解約払戻金が少なくなります(元本割れします)。解約時の払戻金額は、次のとおり計算されますが、非常に難解です。

三井住友海上プライマリー生命のブロードウェイワールドⅢの「年金原資充実コース」の解約返戻金


そこで、以下の契約年数ごとの解約払戻金の試算例をご覧ください。後ほど解説しますが、仮に契約時点での積立利率(運用利率のようなもの)が変わらずに3%だった場合、3年目から満額の一時払保険料が戻ってきます。契約初期の数年での解約では、確実に損するので注意が必要です。

解約返戻金の事例


また、据置期間満了後、年金として受け取る場合でも、高いコストを支払うことになります。年金額に対して1%の費用が控除されますので、これも余計なコストです。

年金管理費


管理人が特に問題だと感じるのは、据置期間中の運用中に負担する保険関係費用です。据置期間中の積立利率は、契約通貨の指標金利から保険関係費をあらかじめ差し引いた利率ですので、知らないうちに年間運用経費を支払っているようなものです。運用パフォーマンの低下に繋がります。この運用パフォーマンについては、次の項で分析してみます。

単純に米国債に投資するよりも、はるかに低い金利(積立利率)となる

ところで、ブロードウェイワールドⅢの年金原資充実コースで運用して年金原資を増やすのと、ごく一般的な金融商品である米国債券を保有した場合とで、パフォーマンスを比較してみました。期間は10年間です。ブロードウェイワールドⅢの据置期間10年の積立利率は1.8%です。

三井住友海上プライマリー生命のブロードウェイワールドⅢの「年金原資充実コース」の積立利率


対して、ガーデンザギフト目標設定付き定期支払コース(メットライフ生命)の評価ページでも紹介した米国10年の国債は年率2.875%です。(2019年6月30日時点でのSBI証券で買付可能な約10年物の米国国債)

アメリカ国債の金利
※ トレジャリーボンドとは、米国国債のうち、償還期間が10年超の長期国債の事です。


ブロードウェイワールドⅢの年金原資充実コースと、米国国債を10年間保有した場合のパフォーマンスの比較表が、以下の通りです。ブロードウェイワールドⅢの年金原資充実コースは、契約時に5%の初期経費が必要となりますので、実際にはここから更に、運用が不利になります。

三井住友海上プライマリー生命のブロードウェイワールドⅢの「年金原資充実コース」と米国債に投資した場合のお金の増え方


仮に、1万米ドル(約100万円)の契約の場合、10年後の年金原資はブロードウェイワールドⅢの年金原資充実コースでは11355米ドル、米国国債10年物12875米ドルとなります。シンプルに米国国債を直接保有した方が、年金原資を作るという意味では効率的です。

また、途中で死亡した場合の死亡補償に関しても、金利が変わらなければ米国国債も額面で返却されるので、そこまで差が出るようには思えません。以上のことより、ブロードウェイワールドⅢの年金原資充実コースに価値を見出すことが難しい状況です。

というか、将来の年金に相当するお金などは、ideco(個人型確定拠出年金)とつみたてNISAで資産を増やせばよく、ほとんどのケースで、三井住友海上プライマリー生命のような保険など、全く必要ないと言って良いでしょう。


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